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さて、今日は最近ブログのほうで書いている話をベースに
更に話を進めてみます。

企業というのは権力を行使する仕組みであること。

日本企業はコミュニティで、米国企業はカンパニーであること。

日本企業はコミュニティに人生を捧げる度合いの大きさで給与の多寡が決まること。

米国企業は機能集団で、考える部分と実行が分離されていて、考えるほうが給与が高いこと、などを書いてきました。

それでね、今後の日本企業を考えた場合に、現行の延長で行くのか、それとも米国型とも言えるような、独裁型企業が成長して行き、それがスタンダードになるのか、という分岐点にあるように思います。

最近、冷凍食品に農薬混入の事件がありました。

日本企業が機能集団で、人が流動的であれば、人を全く信じないシステムが組まれていることでしょう。工場に入る時に身体検査するとかね。

実際、機能集団的な中小企業で、そうやっている企業を見たことがあります。私はドン引きでしたが、合理的ではあります。短期の関係では誰かが悪さすることを防止することはできませんので。

ただ、現状のコミュニティの仲間ならば、徹底した持ち物検査などはしないのですね。そして、転職市場がほぼ成立していないので、人が1か所に縛り付けられる。従業員側も一か所に縛り付けられることを望む。それを社会は信用と呼ぶ。社会の構成員に長期的関係を強要すれば悪いことはできない。

人が流動化していないのに、コミュニティの末端の人々だけが有期雇用という名目で高いリスクを負っている。そのリターンはない。超低賃金。・・・。

という極めて不健全な状態になっています。

だから、こういうことが起こっていまう、とも考えられるでしょう。

ただ、コミュニティから機能集団への転換は集団が連続性を持っている以上は進みません。JALのように潰れた会社を再生してしまうと、いつまでたっても自然淘汰が進みません。

ユニクロやソフトバンクが出てきて、業績を上げることは、全体のシステムから見れば好ましいと思います。

資本主義とは、資本を背景とした権力差を企業内に発生させることで、人が平等に暮らしながら、社会の厚生を押し上げるという、二律背反を成し遂げるシステムと言えるでしょう。

日本人は資本主義システムの上に、独自のコミュニティ的システムを築き上げ、コミュニティにおけるコミュニケーション密度の濃さによって、ものづくりのケイパビリティを高めてきました。

ただ、それも競争優位になるケースが減少してきたと思います。おそらく、デジタル技術では勝てない。現在、ハイブリッドでは競争優位を持っている自動車でも、電気自動車に完全移行したら、厳しいでしょう。

日本企業は機能集団とコミュニティのつぎはぎのような組織がいろいろと試されている段階にあるように見えます。

潰れかかったり、完全につぶれたりすれば、変革プロジェクトもやりやすいんですけどね。

ただ、この時に、コミュニティの利得と、機能集団の利得をいいとこどりしようとして、うまくいかないケースが出てくるでしょう。今回の農薬混入事件はそういった事態に気づくきっかけになったようにも思います。

こういったことに気づかずに、成果主義といったことを喧伝しても、日本企業での導入はうまくいかない。それを成果主義の終わりだとか、日本はその先を行っているんだ、とか怪しげな主張をする人たちがいましたが、違いますよね。

そもそも、慣習が違うんです。日本は欧米型資本主義とは違ったシステムが、法律だけやや欧米型資本主義に寄せられつつ、動いている。これは非常に脆弱なシステムです。

ただ、地域共同体も崩壊しはじめ、人材の質が変わりつつあり、教育も機能集団のほうへ寄ってきていると考えると、そろそろ企業がコミュニティからカンパニーへ、機能集団へと本来の形に変化する時期なのかもしれません。

それでは今日はこのあたりで。
次回をお楽しみに。
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2014.02.04(10:16)|ソーシャルコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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