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 久々の更新です。すいません。

 今日は多角化について書いてみます。

 多角化は基本的にはビジネスプロセス、ケイパビリティ優位で考えたほうがいいです。

 現在のお客さんにこれも売れるというのは、明らかにセット販売や、セカンドオプションの提示という意味ではいいんですが、なかなかうまくはいかない。

 レビット信者みたいな人がいて、鉄道会社が航空機事業をやればいいんだ!価値を人を運ぶと定義して多角化するといいんだ!といったりしますが、うまくいきません・・・。

 ビジネスプロセスが明らかに違うからですね。

 そういう意味で言えば、ガソリンスタンドとコンビニは大失敗でしたね。レビット信者はこれを見て、なんと言うのでしょう。

 そもそもね、ビジネスプロセスが似ていないと効率的に価値が複製できないんですよ。ここを軽視する人が多いのが意味がわからないんですよね。

 あなたの会社がその商品を扱う意味は、その商品を用意できて、その商品を買うお客さんを連れてこられるからです。これだけ情報の非対称性が減った時代ですから、一応調べて買うので、相対的にローコストで運営できないとプロフィットが取れません。

 それで、模範的な多角化の例は、サンスターですね。自転車と歯磨き粉です。もともとは自転車をやっていて、ビジネスプロセスとして、チューブに詰めるというものを活かして歯磨き粉を詰め始めた。

 じゃあ、歯磨き粉から、オーラルケアへの事業の再定義はレビットでいいじゃないか!とレビット信者は言うかもしれませんね。

 歯ブラシを作ること自体の難度が自転車メーカーにとっては低いことと、お客さんへのインサイトがあるということの両方がないといけないと言っているんですよね。

 たいてい、自社のビジネスが対象としているお客さんのことはそれなりにわかっています。こんな商品なら売れるだろう、と思うことはたくさんあります。でも、それを提供できるの?というのが問題になるんですよ。

 ガソリンスタンドのお客さんは何か買いたいと思うかもしれない。じゃあ、ガソリンスタンドはコンビニできるの?というのが問題になる。答えは「できない」ですよね。

 ただ、ガソリンスタンドがカフェができるのか?はまたちょっと違った話です。コンビニのオペレーションとガソリンスタンドのオペレーションは違いすぎますが、ガソリンスタンドには休憩室があるところがもともとけっこうあって、カフェはできなくもないというのがある・・・。

 コンビニでのバイトと、カフェでのバイト、ガソリンスタンドでのバイトをすべて経験した人が言うのは、コンビニはだいぶ違うということですね・・・。食い物の発注が収益にクリティカルなのはコンビニだけです。日本のガソリンスタンドとカフェはホスピタリティがクリティカルという意味ではけっこう似ています。

 といったことがわかると、多角化とかもうまくこなせるというか、考えられるようになるでしょうね。

 それでは、今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。



 
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2014.10.01(17:54)|戦略コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 デザイナーの転職サイトのコピーに『ロゴぐらい簡単に作れるでしょ』、身に覚えがあれば〇〇.JPというものがありました。これに似たセリフに、『ビジョンぐらい簡単に作れるでしょ』があるよなあ・・・、と思いました。

 ビジョンは、経営者が納得すればそれでいい面もあるのですが、ビジネスコンセプトそのものに近いので、ビジネスにクリティカルな社会の変化や社会の課題認識とそれに対するなんらかのインサイトがないときついですよね・・・・。

 私がコンサルタントをやっている課題認識は『ビジネスナレッジって軽視されるもんですよね』とか、『人は甘い話に弱くて、自分のビジネスに参照する文献を間違えますよね』といった感じです。何を参照しても自分の頭で考えるしかないわけですけど・・・。

 著名な外人さんの格言家は、ブランディングの文脈に使われます。

 この人と共著で書いている俺ってすごいマーケターみたいなプレゼンスメイキングに使われ始めたら『終わっている』と思ったほうがいいでしょう・・・。今月のHBRはそうでしたね・・・。

 HBR自体がいいか悪いかは別として、その人がHBRに現役で書いてた頃はいつですか?というのを踏まえれば、今、使えるか使えないかはわかりそうなもんなんですけどね・・・。

 経営学も、経済学も、社会学でもそれなりに進歩しているので、その知見を踏まえるというのは、けっこう大事なことだと思います。

 そういう人類の叡智みたいなもんを、経営者がビジネスに活かすようになれば、もっと世の中がましになるだろうなあと思っていて、そのお手伝いができればいたしますよ、というのが弊社のビジョンなわけです。

 最近の企業だと、技術革新やら、社会の変化やら、グローバリゼーションをどう捉えるかはけっこう難しいですよね。薄い知見で何かを言おうとすると、かっこいいビジョンにならない。

 ちゃんとしたデザイナーが作ったロゴと、その辺の人が作ったロゴの違いぐらいに、ビジョンが違ってくるわけですね。情報社会の捉え方とか、グローバリゼーションとか、自由・平等とか、そういったものにインサイトがないとちゃんとしたビジョンにはならないでしょう。

 例えばね、パーソナライズビジネスみたいなものがあったとしましょう。この会社がビジョンを作ろうとする。昔から、ワントゥーワンマーケティングというのは、さも真のことのように喧伝されてきました。これからは一人一人のニーズに対応するんだ!と。これだけで行こうとすると、薄っぺらいビジョンになる。

 なぜかと言えば、一人だけが欲しい何かって本当にあるんですかね?という問いに答えられていないからです。

 人権とかそういった観点からは一人一人を尊重するというのが素晴らしいことには見えますが、自分だけが欲しい何かって本当にあるの?と問うと、意外とこれはみんな欲しいよなとか、これはあの人も欲しいだろうとか、そういうことになってきます。

 なぜか、人にはある程度共通して欲する何かがある。

 だから、ビジネスというか、組織化した生産活動というものが大規模化して、今の企業社会のベースが作られた面があるわけです。

 こういう『みんなが共通で思うことというのがある程度ある』ということを共同主観と言ったりします。

 ただ、この共同主観は文化によって少しずつ違います。虹の色が5色の文化もあれば、7色の文化もある。育った文化圏で世界の見え方が違うわけです。

 この違いへの対応が、ローカリゼーションだったりするわけですよね。

 というようなことを踏まえて、パーソナライズ商品の価値って何だろう?と考えないといかんわけですよ。こういった現実を踏まえてそれでもパーソナライズは意味があると言える何かがあるほうが重厚なビジョンになるわけです。宗教の教義みたいなもんですね。

 これを社内でちゃっちゃか個人の担当者が作れると思うほうが間違っていますよね・・・。

 『ビジョンぐらい簡単に作れるでしょ』は転職理由になっちゃうわけですね。金と時間はかかりますよ、と。

 長くなってきたのでこのあたりで。次回をお楽しみに。

 
2014.10.07(20:34)|戦略コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
こんばんは。伊藤です。

今日もメルマガの焼き直しです。すいません。
日々、粛々と仕事をやり続ける毎日です。

さて、今日は少し最近の潮流におもねって、
『ビジョンを作る時に注意しておきたい3つのこと』を書いてみましょう。

執筆とかそういうものは、自分の書きたいことを書くと言うよりは、読者が読みたいものを書けとはよく言います。

私は書きたいことを好きに書くほうなので、あまりこういうふうには書かないわけですが、
今日は少し真面目に、自分を抑えて書いてみましょう。『ビジョンを作る時に注意しておきたい3つのこと』です。

ビジョンというのは、当社の社会的価値の主張だと思っていいでしょう。
社会がこうなると素晴らしいというか、そういうお話です。

ミッションと分ける人もいますが、私は特に分ける意味がないと思っています。

ただね、『社会はこうだからダメなんだ!』と青年の主張のように言ってしまうと、
お客さんから薄っぺらく見えるビジョンになってしまいます。
『資本主義で欲望を追求するからダメなんだ!』とかね。

今の社会が今の形になっているのには、それなりに理由があります。
一応、問題に対する現実解が現在実現している面があるので、
一方的に何かを悪にするのは一般的に難しいのです。

配分を平等にすればするほど働かなくなるのは、鄧小平の改革開放以前の中国を見れば明らかですから、『資本主義は欲望を追求するからダメなんだ!』は青年の主張になるわけです。

だから、注意すべき1つ目として、
今の社会に対するある程度正しい知識が必要、ということになるわけです。
少なくとも、政治・経済に対する最低限のことは勉強しておかないといけません。

そして、その社会には矛盾は当然ながらあるわけですが、
それに対する当社なりの解決策を提示しないといけない。

この時に、提示する解決策がある程度納得感がないといけません。
これが2つ目です。

例えばね、『非モテが結婚できないのは、社会悪だ!』というのは確かにそうかもしれない。

この時に、『マッチング効率を上げることで、全非モテが結婚できるようにする!』と言うと、マッチング効率だけで全員は結婚できないだろ・・・、と思ったりするわけです。

『男女のマッチング効率を上げることで、一人でも多くの人に結婚の幸せを届ける』のほうが嘘がないですよね。確かにマッチング効率で救われる人もいるでしょうから。

そして、最後のポイントですが、
ビジョンと実際に事業が強く結びついていることが大事です。

ビジョンがあまりに現在の事業とかけ離れていると、社員もお客さんも白けてしまいます。だから、ちゃんとビジョンと現在の事業が結びついていないといけない。

ただ、この結びつきはどちらかというと
社会の課題と解決策のほうを、ちゃんと落とし場所である事業を踏まえて設定するというところに強く依存しています。

あまりに壮大な課題設定をすると、実際の事業への結びつきが弱くなる。

壮大な嘘をついて、事業の実態を見えなくするようなやり方もないではないですが、
バレますよね・・・。

ということで、
①ちゃんと社会に対する正しい知識を学び
②納得感がある課題設定と解決策提示を行い
③やっている事業と現実的な結びつきを作る

以上の3つが『ビジョンを作る時に注意しておきたい3つのこと』になります。

それでは今日はこのあたりで。
次回をお楽しみに。
2014.10.10(03:14)|戦略コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 経営戦略について聞く場面は、近年のビジネスパーソンであれば日常的にあるでしょう。今回はそういった話題を聞くときに2つの視点をわかっておきたいということを確認します。

 経営戦略と言う言葉が意味するものは、話し手によってさまざまですが、大きく2つの視点から語られていることが多いです。その話が2つの視点のどちらの話なのかを理解して聞くことが重要になってくるわけです。

 その2つの視点とは、資源配分の視点と、価値の提供の視点です。

 まず、『資源配分』の視点とは何かを見ていきましょう。

 経営戦略は、経営を戦いを見なすわけですが、無限の資源があるケースはないでしょう。お互いに資源には限りがあり、その制約の中で最大限の効果を上げようとするわけです。

 少しでも成果の出るところに資源を配分したいと企業・組織は思うわけです。すごく単純な例でいえば、100万円の予算があった場合に、リスティング広告とダイレクトメールの2つの手段があったとして、どちらにいくらずつ使えば最大の集客ができるのか?ということが考えられます。

 また、当社がラーメンとカレーを売っていた時に、10人いる営業マンをどちらに何人ずつ配置すればいいのか?も問題になってくるでしょう。

 こういった資源配分の最適化をしようとする視点が戦略と名前のつくお話には出てきます。

 この視点が分かっていると、なぜ内部環境の話を『経営戦略』と称してしているのかがわかってきます。

 『業務改革』は必ずしも戦略論点とは言えないことが多いのですが、限られた資源の中で、投入資源を変えずに、もしくは減らしながら同じ成果をあげられるような業務プロセスを作ろう!という意味では、資源使用の効率化とみなすことができ、資源配分に影響を与えるという意味で戦略的と言えるかもしれません。

 もう1つの視点は『価値の提供』の視点です。

 価値というのは、『お客さんが欲しいと思う何か』です。『お客さんが欲しいと思う何か』を作って売っているので、当社は企業として存続できているわけです。

 このお客さんが欲しいと思う何かを作って売るというのが、価値の提供ということになります。

 そうすると、『お客さんが欲しいと思う何かは何なのか?』という問いに答えるのも、戦略的と言えます。

 コトラー的には、お客さんはドリルが欲しいんじゃない、穴が欲しいんだ!というのは有名ですよね・・・。

 ただ、ドリルを買う人のすべてが穴が欲しいかどうかは議論の余地があります。ひょっとしたら、何かを壊す用途でドリルを買う人がいるかもしれません。

 すると、ドリルじゃなくて、破砕機などを出したら今のお客さんに売れるかもしれないというのも、議論になるかもしれません。

 こういうお客さんが欲しいことにまつわるようないわゆるマーケティング関連の議論も経営戦略と称して行われることがあります。

 それで、そのお客さんが欲しい何かをどう提供するか?も問題にされることがあります。どういうプロセスで量産するの?とかね。

 そのプロセスが少しずつお客さんが価値だと思うものを作っているとして、プロセスごとに費用対効果を見てみて、費用対効果が低いプロセス、お客さんが感じる価値が低いプロセスは削ったりしよう!となる。これはブルーオーシャン戦略の考え方ですよね。

 プロセスごとに少しずつ価値を作っているという考え方はバリューチェーンです。

 最後に少し難しいですが、お客さんに当社が提供している価値は、他の会社が提供している価値によって見え方が少しずつ変わってきますよね。

 例えばね、自分がハンカチを1つ500円で売っていたとします。ティッシュペーパーというものが100枚入り10円で売られ始めた。そうすると、ハンカチはちょっとした汚れをふき取るという部分ではティッシュペーパーにとって代わられるかもしれない。

 すると、デザイン的に可愛らしいハンカチにして、ファッションアイテムとしての用途を検討するようになるかもしれません。もしくは、自社のハンカチが木綿でできていたとして、シルクのハンカチを500円で売る会社が現れた。そうすると、シルクのほうがいいと思う人たちも出てきた。売上が減った。どうしよう?とか。

 こういうお客さんが感じる価値が、別の会社が提供する価値によっていろいろと影響が受けるお話も経営戦略という話題の中に入ってきます。

 まとめると、経営戦略のお話を聞くときの2つの視点とは、
 ①資源配分の視点
 ②価値提供の視点

 の大きく2つで、社内の資源をどう効率的に、効果的に配分しよう?というところと、お客さんが感じる価値は何で、それをどう提供して、それは他社が提供する価値でどう変わるだろう?というところがあるということです。

 それでは今日はこのあたりで。

 次回をお楽しみに。


 
2014.10.10(13:00)|戦略コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
 経営戦略といえばマイケルポーターです。1980年代の発表事項はもはや古典と言えますが、2000年代以降も自分の理論は現代にも適用できると主張して、たまにHBRに寄稿しています。

 この記事ではビジネスで経営戦略を考える人の参考になるポーターのエッセンスをギュッと凝縮してお伝えします。

 (ポーターの言っていることをブログ記事にギュッと圧縮できるわけがないと思ってはいますが、割り切りのための表現です。念のため)

 ポーターはよくポジショニングビューだと言われます。外部環境を考えることを中心として戦略を考えるのです。簡単に言うと、ずっと企業が儲けていくためには、外部環境を考えることが重要だという考え方です。

 このポジショニングビューという言葉も理解までの正しい論理というものがあるので、少し説明します。

 企業は競争にさらされているというのは、経営戦略に携わる人間の共通認識でしょう。ポーターの理論は『競争はある、でも競争の仕方を間違えていませんか?』というところからスタートします。

 そして、競争の目的は収益をもたらす確固たる地位を業界で確立することだ!とポーターは言います。この地位という言葉がポーターの言うポジショニングで、これがポーターがポジショニングビューと言われるゆえんです。

 それでね、ポーターの言う外部環境は「業界」なわけですが、その業界は顧客、つまり自社商品の買い手と自社の商品との関係を中心として語られます。

 これがいわゆるファイブフォースモデルです。5つの力を中心に考えようという業界分析です。では、業界はなんのために分析するかといえば、業界は自社に収益をもたらすぐらい魅力的なのか、どうやって収益をもたらす地位を確立するのか?という答えを出すために分析します。

 つまり、競争にどう勝つのか?どう勝って収益を自社にもたらすのか?のために分析するわけです。

 お客さんである商品の買い手、競合企業、新規参入者、代替品提供者、自社のサプライヤーの大きく5つ関係者の収益を巡る競争を中心に見ていくので、ファイブフォースモデルと言います。

 そして、関係者間の競争が弱い業界が魅力的だ、と。これはポーターの考えの特徴を如実に示しています。競争はあるけど、敵が弱い業界が儲けやすい。言われてみれば当たり前ですが、ポーターはこの考えを徹底しています。
 
 そして、ポーターは勝ち方は大きく分けて4つしかないと言います。

 差別化するか低価格にするか。それを広い範囲でやるか、すごく狭い範囲でやるか。この大きく4つです。

 それでね、よく「広い範囲での差別化」が語られるのですが、なかなか理解が難しい概念です。ポーターの言う差別化は『価格以外のあらゆるの要素で、お客さんに欲しいと思わせる何か』です。

 商品の目先がちょっと違うとか、マーケティングのやり方とかそんな小さな問題ではなく、総合的にお客さんが低価格じゃなくても欲しいと思うためのあらゆる活動の結果としての差別化なのです。

 そんなものはあるのだろうか?と思ったりします。広い範囲で競争する企業の差別化なんてあるのか?と。しかし、ポーターはあると言います。

 BMWやアップルやフォーシーズンズホテルが代表例だ!と。

 BMWやフォーシーズンズは少しニッチな気もしますが、アップルのアイフォンは広い範囲で確かに戦っている。そして、確かに高収益です。

 ユニークなポジションをアップルが総合的に確立しているというような話はよくあるのでここでは割愛します。選択と集中の重視、ジョブズ復帰時のプリンタや情報端末からの撤退。デザインを出発とした商品開発の考え方。フォックスコンを使った効率のいいサプライチェーン。顧客体験の重視。挙げたらきりがありません。

 ただね、このアップルのユニークな全体が差別化をなしているとポーターは言います。エッセンスを一言で語れたら広い範囲での差別化ではないんですね。

 もしくはファストファッションでいうZARAとかですね。ZARAも差別化の説明が長いですよね。短い商品開発リードタイム、生産の絞り込み、多品種の生産、情報共有など。

 長々と成功要因について語っている記事があったら、広い範囲の差別化だ!と思えばいいのです。

 つまり、広い範囲の差別化はうまく表現できません。お客さんが低価格でなくても欲しいと思う商品を総合的に実現できていれば差別化に成功していることになる、という結果として語られるものです。

 ただ、他の勝ち方は簡単です。マスマーケットで低価格で勝つ。ニッチでユニークな価値を出して勝つ、ニッチで低価格で勝つ。これしかない。

 多くの企業はマスマーケットで低価格で勝つか、ニッチでユニークな価値で勝つというやり方をとっています。だから、この2つの納得感はあるでしょう。安かった頃のユニクロはマスで低価格で勝っていましたし、中小企業の多くはニッチでユニークな価値を出しています。いわゆる日本のグローバルニッチ企業は有名ですよね。

 それでね、この「お客さんが欲しいと思うこと」を価値というわけですが、ファイブフォースモデルはその価値を中心にして業界が成立していると見ます。そして、その価値を提供する時に、その業界の中でボトルネックになっている部分に収益が集中します。

 当然、ボトルネックは移動しますから、収益が出る場所は移動する。もっと言えばお客さんが欲しいと思う何かも少しずつ変わっていくから、業界で出る収益も変わっていく。

 その変化の中で、収益の取り合いを価値を中心として5つの関係者がしているというのがファイブフォースモデルです。

 それで、この「お客さんが欲しい何か=価値」というものを業界がみんなで生産していると考えます。

 プロセスごとにお客さんが欲しいと思う何かの生産の1つの価値要素を構成していると考えて、企業活動を分析する。

 そうすると、企業の内部の活動や、業界の活動が違った形で見えてくる。そして、競争優位がどのように実現されているかが分析できるというわけです。

 この分析の考え方をバリューチェーンと言います。

 この価値を生み出すバリューチェーンは、大きく分けて2つあります。メインのプロセスと、メインのプロセスの支援するプロセスの2つです。 

 メインのプロセスとは、いわゆる調達、生産、流通、販売、サービス提供などの直線的にとらえうるプロセスです。しかし、企業の中には、総務や人事、情報システム部門などがあります。このいわゆるバックオフィス的な部門を、支援のプロセスとして捉えるわけです。

 それでね、どのプロセスがお客さんが欲しいと思う何かを生産するのに大きく貢献しているか?というのを見ていくと多くのことがわかってくる、とポーターは言うわけです。
   
 業界全体のバリューチェーンをポーターはバリューシステムと呼んでいます。お客さんが欲しいと思う何かを中心に考えた時に、業界全体でどんな価値の生産をしているかを分析して、自社はその中でどんな価値を生産しているかを考えるための枠組みです。

 その役割分担、自社のバリューチェーンのバリューシステムの適合の仕方を考えていくことが競争優位のヒントになると言っています。

 広い範囲の差別化では、総合的な活動によって、お客さんが低価格以外の要素で買いたくなるわけですから、バリューチェーン全体に少しずつその理由を求めることになります。

 例えば、1920年代にGMがローン形式で自動車の販売を始めて、フォードはそれに追随しなかったので、GMがシェアを伸ばしたというようなケースがあります。

 バリューシステムの中で、買い手は、まとまった購入金額をあらかじめ用意できなくても、自動車が買いたかったわけです。しかし、ローンがなければそれは実現できない。

 一言でローンで車を売るといっても、用意しなければならないビジネスプロセスは膨大です。与信の審査から、お金の回収方法、焦げ付きの処理方法など、面倒なプロセスがたくさんあります。

 そのプロセスを自動車業界に持ち込むことで、GMは競争優位を手にしました。何かしらの新たな価値をお客さんに提供するには、それ用のプロセスがないといけないということですね。そして、そのプロセスでまとまったお金が現在無くても自動車が買えるという現在では一般的な状況となりました。

 このようなプロセスによる価値の提供は多岐に渡ります。その総合的な価値で競争相手に勝つ。これがポーターの競争戦略ですね。

 長いですがまとめますと、

・ポーターは競争が大事だと言った
・企業は持続的に収益をもたらすような確固たる地位を築くために競争をすべき 
・業界は競争が緩いほうが収益が出るが、業界は5つの関係者の争いと見るべき
・この5つの関係者の争いがファイブフォースモデル
・勝ち方は4つしかない
・差別化と価格優位、広い範囲でやるか狭い範囲でやるかの4つ
・差別化は価格以外の要素でお客さんが欲しいと思う何かを作り出すこと
・その地位をうまく築くには、企業内部で「お客さんが欲しいと思う何か=価値」をうまく作り出さなければいけない
・この企業内部の価値の生み出し方を分析するのがバリューチェーン
・業界全体で価値を生産すると見るのがバリューシステムで、バリューチェーンはバリューシステムの一部
・バリューチェーンがバリューシステムの中でどのような役割になっているかを分析するのが、勝つためのヒントになる

 ・・・ぐらいです。長いですね。すいません。

 しかし、これがポーターのエッセンスと言っていいでしょう。

 それでは今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。
 
2014.10.11(09:11)|戦略コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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・先人の知恵に対する敬意を払い、学び続けること。ナレッジの自己への入力量が自身の考える能力を向上させ、社会のナレッジ量を増加させることを知ること

・社会のビジネスナレッジの偏在を正すことを目指すこと。そのために社会の構成員であるクライアントに対してビジネスナレッジを提供すること

・ビジネスナレッジの偏在を利用する悪貨たる企業を駆逐する良貨たらんとすること。そのために偏在を利用する企業以上のマーケティング力を持つこと。そして、提供したナレッジに見合った対価をクライアントから頂き収益を上げ、成長していくこと

・社会に対する志を持つ企業、個人をクライアントとすること。例え儲かるとしても、志を持たない企業、個人をクライアントとしないこと

・クライアントの成長を望むこと。具体的な解の提示よりも、その解を出すプロセスをシェアすることにより、クライアント自身がプロセスを組みなおし、異なった解を出す力を増加させることに重きを置くこと

・抽象的な理論のレイヤから、クライアントサイドの具体へと寄っていくこと。ただし、その過程でクライアントにも具体のレイヤから抽象のレイヤに寄ってもらうこと。その上で、中間のレイヤでクライアントと共に新しいナレッジを生み出していくこと
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