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インサイト100ビジネスケース
> 親会社と子会社と新規事業
 1兆円を超える売上を誇る巨大なメーカーさんの新規事業担当のSさんに、子会社に一緒に行きましょう、というメールをいただきました。
この前、顧問契約のお話しが上司の承認が取れずに流れたばかりだったので、ひょっとしてお仕事になるのかな?という思いを胸に朝も早くから多摩を出て、京王線と中央線を乗り継いで23区の右のほうへ。


 通されたのは巨大な会議室。隣は社長室って書いてあるけど大丈夫?と心配しつつ、席につく。
 「経営企画室長の○○です。よろしくお願いします。」名刺には経営企画室室長って書いてある。クリクリした瞳が愛らしいおじさんだ。40歳ぐらいかな・・・。あと、ガタイのいい子分みたいな、クロぶちメガネをかけたお兄さんを紹介された。

 売上が数十億円の会社の経営企画室長だから、何か新規事業案件でもくれるのだろうか?と少しだけ期待しながら会議が始まる。

 「えー、本日は、コンサルタントの方にお越しいただきました。当社としては店舗管理コンピュータなど事業を総合的に進めて行こうとしておりまして、こちらの零細コンサルタントさんにアドバイスいただいています。では、零細コンサルタントさん、ジャブを子会社の方に・・・」

 えー!丸投げ?この会社、どんなビジネスなのかもよくわからんぞ・・・。むこうもキョトンとしてないか?室長さんは私のほうを見つめている。クロブチめがねのお兄さんも。何かしゃべらないと。

 「そうですね。今日はお忙しい中お時間をいただきまして、ありがとうございます。こちらのSさんとは、新しい店舗管理コンピュータシステムの検討を共同でさせていただいています。そのコンセプトは・・・。

(中略)

 それで、今日は新しいビジネスのお話しということでしたが・・・」

 うーん。困ったぞ。言葉が続かん・・・。室長さんもクロブチめがねさんも私のほうを見ている。

 と、そんな私に、室長さんが助け舟を出してくれた。
 「大丈夫ですよ。われわれも今日は白紙で来てくれればいいというお話しをいただいているだけですから。親会社のほうはいつもこんな感じですよ。自分たちがビジネスをハンドルする、いわゆるビジネスコントローラ的な役割を担わないといけないのに、なかなかリーダーシップを発揮してくれない。困るのはわれわれ子会社のほうなのですがね。まあ、軽い親会社批判ですわ。わっはっは!」

 室長さんは、大げさに笑ってみせてくれた。いいヒトだ。本当に。

 Sさんはちょっと困った顔をしたようにも見えたけど・・・
 「いや、子会社のほうから上げていただいた案件のほうが、意外と通りやすいんですよ。それでまあ、今日は出会いに感謝みたいなことですね・・・。今後、定期的にミーティングを持たせていただいて・・・。」

 その後、まあ、その会社の事業についての説明をいただいて、いい時間で会議は終了した。申し訳ないなあ、と思いつつ、Sさんはまあ、紹介したかっただけなのだろうなあ、と思いつつ、それなら夜でいいじゃないか・・・、と早起きで眠い自分の愚痴を思いつつ・・・。

 でも、親会社の担当者よりも子会社の室長の話しが通りやすいって、あなたの存在って何?とも思いました。

 こちらの都合を言わせていもらえれば、セールスで見込み薄、と判断したお客さんには時間を使いたくない。そりゃ、マッキンゼーみたいな超巨大コンサルティングファームはいい。リソース配分のポートフォリオの中に、見込み薄のお客さんと言うボックスがあって、そこにかけられる時間も、零細コンサルタントとは比べ物にならないほどある。定期的に打ち合わせといっても、いつお金になるともわからない仕事に時間は充てられない。銀行とか、シンクタンクの講演会に出させてもらう交渉でもしたほうが、よっぽどお金に近い・・・。

 本音ではそうだけど、Sさんも悪いヒトではないし・・・。

 まあ、ある意味、ゆるい生活もよいかな?いや、いけないのかな?と思いつつ、当分、豪華なオフィスには移れないなあ、と思いつつ、多摩へと帰路につきました。

(ほぼノンフィクション)

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2007.10.20(11:33)|ビジネスケースコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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