「会社を設立した思いはなんですか?」と、最近になって、聞かれることが多くなりました。なぜ、そういうことを聞かれるようになったのかはわかりませんが。
プロフィールのところに、ビジネスの本質を究めるため、と書いてあって、確かにそういうもののためなのですが、なんでしょう・・・、別に、その本質を究めて、独り占めしたい!とか、そういうことではなくて、ビジネスナレッジがもっと広く、世の中に行き渡っていけばいいな、という思いというほうが正しいと思います・・・。
ビジネスに関して、人類が考えてきたことというのは、多くの知見を生み、その知見は活用されてはいると思うのですが、意外と偏在していると思うのです。
特にシステム開発の領域はひどいですね。騙されるほうも悪くないわけではないのですが、情報の非対称性をいいことに、それを悪用するのもひどいし、期待した成果が実現しないことが多々あることが問題だと思います。
昔、SAPの幹部だった方が、「90年代後半からはじまったERPの大企業への第一次導入期は終わりました。これから第二次導入期が始まると思います。なぜなら、ほとんどの導入プロジェクトが失敗したから、入れなおしのプロジェクトが始まるからです。」と言っているのを聞いて、トホホホホ、と思いました。
まあ、その人の主張では、第一次導入期にミスターERPと呼ばれた方が、「ERPはなんでもできる!」という、SAP側でも「そんなわけないでしょ・・・。」と思うような主張で強引に導入を進めて失敗して、これからはできることと、できないことをしっかり認識した上での導入になるし、それが自然であり、今後その人自身が意味あるERPの導入を一生懸命やっていくということを前提とした発言ですけどね。
話しを元に戻すと、アービトラージはビジネスの基本ではありますが、情報の格差をいいことに、人日計算でコストを請求し、期待効果が実現されなくても知りません、というスタンスでは詐欺に近いと思うのです。全てがそんな会社ばかりとも言いませんが、そういうプロジェクトがけっこうな割合であることも確かですね・・・。
(アービトラージ:格差を埋めること。例えば水の無いところに、水を売るとか。)
こういう不幸は、ビジネスナレッジがあまりに偏在しているせいではないかな、と思うのです。そういったナレッジが、世の中に広まっていけば、あまりにひどい状況というのが、少しは少なくなるのではないかな、と。そういう思いで、今のお仕事を始めたんですね・・・。
まあ、まだまだ、世の中にビジネスナレッジがあまねく行き渡っているわけではないとは思いますけどね。ただ、マーケティング領域で言うと、ターゲティングの考え方はだいぶ浸透してきたとは思います。
何かを売るときに、誰が買う?ということを意識しない人はいなくなったような気がします。ターゲット層は、20代男性ですとか・・・。性、年代ではなくて、自社の扱う商材の特徴を踏まえた上で、きちんとしたセグメンテーションのパネルを作っている会社もありますし。
ただ、たまに、すべての人がターゲットです!というようなことを、深い考えもなく、言う人もいることはいますね・・・。
当然、自分の保有するビジネス全体で、大きなパイをカバーするという考え方や、マスを狙いに行くということを、相当深く考えてやっている場合もありますよ・・・。
ただ、深く考えずに、すべての人がターゲットです、というお話しでうまくいってしまう人というのは、天才か、よほどの天運に恵まれた人でしょうね・・・。
まあ、ターゲットという考え方は浸透してきて、それはそれで喜ばしいのですが、ある意味で、セットで語られるべき、提供価値という概念はまだまだ理解されないですね・・・。いわゆる広告代理店が、広告のプレゼンをするときに、コンセプトと言っている部分に近いですけどね。
実際、商品や事業をゼロから生み出す人自体の割合が少ないので、もともと商品はあったうえで、これはこの層の人々によいのでは?とか、そういう議論になるために、提供価値という概念が浸透しないのでしょうね。
それと、ターゲットに対するインサイト無しには、強い提供価値が作り出せない、という考える技術的な難しさもあるんだと思います。企業の商品企画の部門でも、センスのある人は、無意識的にできている時もありますが、組織としてしっかりと考える枠組みが整備されていることは少ないと思います。
ゲーム会社でのそういったコンセプトワークというか、プランニングワークの整備のプロジェクトがありましたが、意外と共通言語の整備ってなされていないものです。みんな職人芸でやっているんですね。
そういった職人的に組織内に偏在しているナレッジをベースにして、ビジネスシステムにしていくというのは、意味があるプロジェクトだと思います。この前、3回にわたって書いたように、内部のリソースを踏まえた上でのビジネスシステムの整備ですね。
提供価値に話しを戻します。今の教科書的にどうなっているかはわかりませんが、商品の価値と言うのは、機能的な価値と、情緒的な価値の大きく2つに分かれると思います。
コーヒーショップで出されるコーヒーの機能的な価値は、眠気が取れるとか、水分を補給できるとか、そういったものになりますが、情緒的な価値は、お店によって異なりますね。
ドトールのコーヒーとスターバックスのコーヒーは、イメージ違いますよね?そういった違いを、ある意味で考えて作り出すのって難しいと思いません?まあ、全てが意図どおりになるわけではないですけど・・・。
ブランドのお話しとしても扱われますが、目隠しで味を判定してもらうのと、ブランド名がわかっていて、味を判定してもらうのでは、評価が変わってきますね。
ビールで言うと、目隠しテストでは、アサヒスーパードライは「おいしい」と判定されないですね・・・。ブランド名を明かした上では、スーパードライは評価が高いですけど。
ある意味、飲む人の感覚を踏まえた上で、味を設計しているのかもしれませんけどね。人間のイメージというのは、不思議なものです。
これから、何回かかるかわかりませんが、ターゲットと提供価値に関して、少し掘り下げてみようと思います。周辺概念として、インサイトとか、ブランドとか、企業とプロダクトとか、そういったものが出てくると思います。
ブランドを真ん中においた考え方もあるとは思うのですが、そうすると、少し本質的なことからずれるような気がします。世間的なウケはそっちのほうがよいのでしょうが、ある意味でアンコントローラブルな論点のような気がしているものを真ん中にしてお話しをするのは、ちょっと違う気がするので。
今日は、ちょっと思わせぶり?な書き方になってしまったような気がします・・・。すいません。
次回をお楽しみに・・・。

プロフィールのところに、ビジネスの本質を究めるため、と書いてあって、確かにそういうもののためなのですが、なんでしょう・・・、別に、その本質を究めて、独り占めしたい!とか、そういうことではなくて、ビジネスナレッジがもっと広く、世の中に行き渡っていけばいいな、という思いというほうが正しいと思います・・・。
ビジネスに関して、人類が考えてきたことというのは、多くの知見を生み、その知見は活用されてはいると思うのですが、意外と偏在していると思うのです。
特にシステム開発の領域はひどいですね。騙されるほうも悪くないわけではないのですが、情報の非対称性をいいことに、それを悪用するのもひどいし、期待した成果が実現しないことが多々あることが問題だと思います。
昔、SAPの幹部だった方が、「90年代後半からはじまったERPの大企業への第一次導入期は終わりました。これから第二次導入期が始まると思います。なぜなら、ほとんどの導入プロジェクトが失敗したから、入れなおしのプロジェクトが始まるからです。」と言っているのを聞いて、トホホホホ、と思いました。
まあ、その人の主張では、第一次導入期にミスターERPと呼ばれた方が、「ERPはなんでもできる!」という、SAP側でも「そんなわけないでしょ・・・。」と思うような主張で強引に導入を進めて失敗して、これからはできることと、できないことをしっかり認識した上での導入になるし、それが自然であり、今後その人自身が意味あるERPの導入を一生懸命やっていくということを前提とした発言ですけどね。
話しを元に戻すと、アービトラージはビジネスの基本ではありますが、情報の格差をいいことに、人日計算でコストを請求し、期待効果が実現されなくても知りません、というスタンスでは詐欺に近いと思うのです。全てがそんな会社ばかりとも言いませんが、そういうプロジェクトがけっこうな割合であることも確かですね・・・。
(アービトラージ:格差を埋めること。例えば水の無いところに、水を売るとか。)
こういう不幸は、ビジネスナレッジがあまりに偏在しているせいではないかな、と思うのです。そういったナレッジが、世の中に広まっていけば、あまりにひどい状況というのが、少しは少なくなるのではないかな、と。そういう思いで、今のお仕事を始めたんですね・・・。
まあ、まだまだ、世の中にビジネスナレッジがあまねく行き渡っているわけではないとは思いますけどね。ただ、マーケティング領域で言うと、ターゲティングの考え方はだいぶ浸透してきたとは思います。
何かを売るときに、誰が買う?ということを意識しない人はいなくなったような気がします。ターゲット層は、20代男性ですとか・・・。性、年代ではなくて、自社の扱う商材の特徴を踏まえた上で、きちんとしたセグメンテーションのパネルを作っている会社もありますし。
ただ、たまに、すべての人がターゲットです!というようなことを、深い考えもなく、言う人もいることはいますね・・・。
当然、自分の保有するビジネス全体で、大きなパイをカバーするという考え方や、マスを狙いに行くということを、相当深く考えてやっている場合もありますよ・・・。
ただ、深く考えずに、すべての人がターゲットです、というお話しでうまくいってしまう人というのは、天才か、よほどの天運に恵まれた人でしょうね・・・。
まあ、ターゲットという考え方は浸透してきて、それはそれで喜ばしいのですが、ある意味で、セットで語られるべき、提供価値という概念はまだまだ理解されないですね・・・。いわゆる広告代理店が、広告のプレゼンをするときに、コンセプトと言っている部分に近いですけどね。
実際、商品や事業をゼロから生み出す人自体の割合が少ないので、もともと商品はあったうえで、これはこの層の人々によいのでは?とか、そういう議論になるために、提供価値という概念が浸透しないのでしょうね。
それと、ターゲットに対するインサイト無しには、強い提供価値が作り出せない、という考える技術的な難しさもあるんだと思います。企業の商品企画の部門でも、センスのある人は、無意識的にできている時もありますが、組織としてしっかりと考える枠組みが整備されていることは少ないと思います。
ゲーム会社でのそういったコンセプトワークというか、プランニングワークの整備のプロジェクトがありましたが、意外と共通言語の整備ってなされていないものです。みんな職人芸でやっているんですね。
そういった職人的に組織内に偏在しているナレッジをベースにして、ビジネスシステムにしていくというのは、意味があるプロジェクトだと思います。この前、3回にわたって書いたように、内部のリソースを踏まえた上でのビジネスシステムの整備ですね。
提供価値に話しを戻します。今の教科書的にどうなっているかはわかりませんが、商品の価値と言うのは、機能的な価値と、情緒的な価値の大きく2つに分かれると思います。
コーヒーショップで出されるコーヒーの機能的な価値は、眠気が取れるとか、水分を補給できるとか、そういったものになりますが、情緒的な価値は、お店によって異なりますね。
ドトールのコーヒーとスターバックスのコーヒーは、イメージ違いますよね?そういった違いを、ある意味で考えて作り出すのって難しいと思いません?まあ、全てが意図どおりになるわけではないですけど・・・。
ブランドのお話しとしても扱われますが、目隠しで味を判定してもらうのと、ブランド名がわかっていて、味を判定してもらうのでは、評価が変わってきますね。
ビールで言うと、目隠しテストでは、アサヒスーパードライは「おいしい」と判定されないですね・・・。ブランド名を明かした上では、スーパードライは評価が高いですけど。
ある意味、飲む人の感覚を踏まえた上で、味を設計しているのかもしれませんけどね。人間のイメージというのは、不思議なものです。
これから、何回かかるかわかりませんが、ターゲットと提供価値に関して、少し掘り下げてみようと思います。周辺概念として、インサイトとか、ブランドとか、企業とプロダクトとか、そういったものが出てくると思います。
ブランドを真ん中においた考え方もあるとは思うのですが、そうすると、少し本質的なことからずれるような気がします。世間的なウケはそっちのほうがよいのでしょうが、ある意味でアンコントローラブルな論点のような気がしているものを真ん中にしてお話しをするのは、ちょっと違う気がするので。
今日は、ちょっと思わせぶり?な書き方になってしまったような気がします・・・。すいません。
次回をお楽しみに・・・。


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