ビジネスではロジカルシンキング本が売れていますが、それを読んでもいまいちコンサルティングに端を発するロジカルシンキングがどういうものなのか?はよくわからないと思います。
わかりやすく伝えるということしか書いてない本が山ほどです。
確かに、わかりやすさというのはビジネスにおいて大事なのですが、わかりやすい=論理的である、ではありません。そこはよく勘違いしている人がいます。
巷のロジカルシンキング本から、論理学関係の本は一通り読みました。が、なかなかビジネス向けにいいなあ、と思う本は少ない。なぜか?と言えばコンサルティングのロジカルシンキングは論理学を必ずしもバックグラウンドにしていないので、理論的背景が、想像で書かれています。それがすごく面倒なのです。
当然、コンサルタントのロジカルシンキングは実践を積み重ねたものですので、実践的なことはたくさん書いてあるのですが、正直、よくわからないと素直に書いてあるものもたくさんあります。
コンサルタントが書いたロジカルシンキングの本で一番いいな、と思ったのは、↓。
まさに、著者の経験を元にわかりやすいオリジナルな説明が書いてあります。当時、こんなことを言う人はあんまりいなかったのですが、この本が出てからコンサルティングの会社の研修が変わったのでは?と思います。
ただ、「示唆出し」がそもそも何なのか?などは実践の中でやっているので、定義がよくわからなかったような旨が正直に書いてあります。
それで、こういったコンサルタントのロジカルシンキングをベースに理論とどうつなげられるんだろう?と思って、論理学の本をやたらと読んだ頃があります。
論理学は、哲学史的に考えると、非常に面倒です。
論理学でよく出てくるのは、ギリシア哲学だと、ストア派、メガラ派。ソクラテス、プラトン、アリストテレス。そこからだいぶ飛んで、ジョン・ロック。ヘーゲル。カント。また飛んでフレーゲ、ラッセル、ウィトゲンシュタイン。
そこからまた飛んでゲーデル、クリプキ。別の方に飛んでオースティン、サールなど。
だいぶ端折ってますが、相当面倒です。ビジネスでは複雑なロジックはいりません。単純でいいのです。
いわゆる等式変形的な形式を問題にする構文論。哲学ではアリストテレス。そこからフレーゲ。
現実世界との意味の対応を問題にする意味論。哲学ではソシュール、ウィトゲンシュタイン。
語り手との関係を問題にする語用論。哲学ではオースティン、サール。
の3つで十分。ヘーゲルの弁証法的論理学はどちらかと言うと、矛盾を越える、Win-Winをどう導きだすか?の考え方に非常に近いです。学べば学んだで深いのですが、時間的な費用対効果はありません。カントはアリストテレスを過大評価しすぎだったとか、そういう小話も面白いのですが、ビジネスにはあまり意味がありません。
で、入門書としては、
この本で十分です。この本、記号の説明をちょっと端折ってあるので、よくわからないかもしれませんが、Webでも引きながら読んでください。
で、なぜ、先に上げた、構文論、意味論、語用論で十分なのかと言うと、コンサルティングにおけるロジカルシンキングはこの3つと重なりあっているからです。そして、実践ですので、ぐちゃくちゃに語られている。それではわかるわけもないと思います。
まず、ファクトベースという考え方は意味論に近いです。現実としてどうなっているのかとの対応関係を重視する。これは論理学で言う意味論。
そして、コンサルティングでは、「そら、あめ、かさ」などの独自の推論形式を取ります。これは帰納法と演繹法がうまくミックスされているのですが、この推論は論理学では構文論。形式的に定まる形がわからないと推論の妥当性なんてわからない。
そして、コンサルティングでは、主語にとっての意味合いを問題にします。これは論理学で言うと語用論。ハイデガーの未来の行為をベースに現実を見るという思想に近いのですが、論理学ではオースティンの「パフォーマティブ」を参照すると非常によくわかってくる。
この3つが多少ぐちゃぐちゃした形で混ざり合っているのが、コンサルティングから漏れ出しているロジカルシンキングスキルです。
優秀な人は直感的にわかります。あらゆる学問に滑り込んでいるからです。そもそも天才的な人は、勉強してなくても、ゼロから考え、組み上げることはできなくはないでしょう。
論理学はアリストテレスの弟子は「オルガノン」としてまとめています。オルガノンとは道具という意味です。これはつまり、1つの独立した学と言うよりは、学問のための道具という意味です。
ロジカルシンキングも道具です。勉強しても、そもそもアイデアに乏しい人にはあまり意味がない・・・。悲しい現実ですね。
このあたりのことは研修パッケージにまとめていますので、そのうち、講座でもやろうかな、と思っています。それでは、次回をお楽しみに。
わかりやすく伝えるということしか書いてない本が山ほどです。
確かに、わかりやすさというのはビジネスにおいて大事なのですが、わかりやすい=論理的である、ではありません。そこはよく勘違いしている人がいます。
巷のロジカルシンキング本から、論理学関係の本は一通り読みました。が、なかなかビジネス向けにいいなあ、と思う本は少ない。なぜか?と言えばコンサルティングのロジカルシンキングは論理学を必ずしもバックグラウンドにしていないので、理論的背景が、想像で書かれています。それがすごく面倒なのです。
当然、コンサルタントのロジカルシンキングは実践を積み重ねたものですので、実践的なことはたくさん書いてあるのですが、正直、よくわからないと素直に書いてあるものもたくさんあります。
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まさに、著者の経験を元にわかりやすいオリジナルな説明が書いてあります。当時、こんなことを言う人はあんまりいなかったのですが、この本が出てからコンサルティングの会社の研修が変わったのでは?と思います。
ただ、「示唆出し」がそもそも何なのか?などは実践の中でやっているので、定義がよくわからなかったような旨が正直に書いてあります。
それで、こういったコンサルタントのロジカルシンキングをベースに理論とどうつなげられるんだろう?と思って、論理学の本をやたらと読んだ頃があります。
論理学は、哲学史的に考えると、非常に面倒です。
論理学でよく出てくるのは、ギリシア哲学だと、ストア派、メガラ派。ソクラテス、プラトン、アリストテレス。そこからだいぶ飛んで、ジョン・ロック。ヘーゲル。カント。また飛んでフレーゲ、ラッセル、ウィトゲンシュタイン。
そこからまた飛んでゲーデル、クリプキ。別の方に飛んでオースティン、サールなど。
だいぶ端折ってますが、相当面倒です。ビジネスでは複雑なロジックはいりません。単純でいいのです。
いわゆる等式変形的な形式を問題にする構文論。哲学ではアリストテレス。そこからフレーゲ。
現実世界との意味の対応を問題にする意味論。哲学ではソシュール、ウィトゲンシュタイン。
語り手との関係を問題にする語用論。哲学ではオースティン、サール。
の3つで十分。ヘーゲルの弁証法的論理学はどちらかと言うと、矛盾を越える、Win-Winをどう導きだすか?の考え方に非常に近いです。学べば学んだで深いのですが、時間的な費用対効果はありません。カントはアリストテレスを過大評価しすぎだったとか、そういう小話も面白いのですが、ビジネスにはあまり意味がありません。
で、入門書としては、
![]() | 論理学入門―推論のセンスとテクニックのために (NHKブックス) (2000/09) 三浦 俊彦 商品詳細を見る |
この本で十分です。この本、記号の説明をちょっと端折ってあるので、よくわからないかもしれませんが、Webでも引きながら読んでください。
で、なぜ、先に上げた、構文論、意味論、語用論で十分なのかと言うと、コンサルティングにおけるロジカルシンキングはこの3つと重なりあっているからです。そして、実践ですので、ぐちゃくちゃに語られている。それではわかるわけもないと思います。
まず、ファクトベースという考え方は意味論に近いです。現実としてどうなっているのかとの対応関係を重視する。これは論理学で言う意味論。
そして、コンサルティングでは、「そら、あめ、かさ」などの独自の推論形式を取ります。これは帰納法と演繹法がうまくミックスされているのですが、この推論は論理学では構文論。形式的に定まる形がわからないと推論の妥当性なんてわからない。
そして、コンサルティングでは、主語にとっての意味合いを問題にします。これは論理学で言うと語用論。ハイデガーの未来の行為をベースに現実を見るという思想に近いのですが、論理学ではオースティンの「パフォーマティブ」を参照すると非常によくわかってくる。
この3つが多少ぐちゃぐちゃした形で混ざり合っているのが、コンサルティングから漏れ出しているロジカルシンキングスキルです。
優秀な人は直感的にわかります。あらゆる学問に滑り込んでいるからです。そもそも天才的な人は、勉強してなくても、ゼロから考え、組み上げることはできなくはないでしょう。
論理学はアリストテレスの弟子は「オルガノン」としてまとめています。オルガノンとは道具という意味です。これはつまり、1つの独立した学と言うよりは、学問のための道具という意味です。
ロジカルシンキングも道具です。勉強しても、そもそもアイデアに乏しい人にはあまり意味がない・・・。悲しい現実ですね。
このあたりのことは研修パッケージにまとめていますので、そのうち、講座でもやろうかな、と思っています。それでは、次回をお楽しみに。
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