更新が遅れてすいません。例によって、論理学入門の解説です。
P23~25:真理値の関係を真理表に探る
または=∨、かつ=∧、ならば=⇒、に関する真理表の解説です。
これらの記号は命題を接続するものです。なので、最小でも2つの命題がくっついた論理式に関しての真偽を問題にします。
例として、P∨Q、P∧Q、P⇒Qについての真理表が出ています。
そして、下にはその解説があります。
ただ、あっさり書いてあるので、意味がわからんと思います。なので、ちょっと解説を書きます。
この3つの真理表は本当は覚えたほうがいい基本的なものです。是非、覚えるぐらい眺めて考えましょう。
まず、このPとQがそれぞれの真偽の組み合わせの時、全体としてどうなるのか?が論理学の言う、「真偽の構造」というもので、それを表現したのが真理表ですね。これまで、しつこく著者が言ってきたことです。こういった、文の論理構造を明らかにすることが論理学の関心である、と。
で、その割に、P∨Q、P∧Q、P⇒Qの説明はあっさりしています。
まず、P∨Qについて説明しましょう。
Pが真である時、PまたはQは真であるか?と言われれば、Qの真偽に関わらず真ですね。これはイメージがわくでしょうか。
「または」という記号は、「選択的でないがどちらかである」つまり「どちらでもよい」という意味で捉えるといいと思います。そうすると、Pが真なら、PとQのどちらかは真であるということですから、PまたはQは真です。
これはQについても言うことができますね。Qが真ならPまたはQはPの真偽によらず真です。
なので、PもQも偽である時だけ、PまたはQは偽となります。
PかつQは、PとQの両方が、と読んでください。
そうすると、P、Qのいずれかが偽であれば、全体も偽になってしまいますね。だから、PとQの両方が真の時に真。どちらかが偽である、または両方が偽である場合は全体も偽となります。
それで、やや問題なのは、P⇒Qです。これは、Pが真でQが真の時は、真であることは納得できますし、Pが真でQが偽の時は、偽であることは納得できます。
しかし、Pが偽で、Qが真の時に、全体が真になるのも違和感があるし、PもQも偽である時に全体が真になるのも、変な感じがします。
例えば、
P:子供がテストで100点を取る
Q:親が子供に5000円を与える
にしてみましょう。こういう約束をある親子がしたとしましょう。
100点をもし子供が本当に取ったら、5000円あげないと親は嘘つきです。100点とったら5000円をあげるが実行されれば真です。子供が100点取ったのに、5000円をあげなければ、偽です。
子供がもし、100点を取らなかった場合。
普通に考えると、親は子供に5000円あげないことになります。つまり、100点を取るが偽だったら、5000円をあげるも偽になると、全体として真になる。真理表の最後は確かに成立しているように思います。
問題は、100点を取るが偽の場合に、5000円をあげるが真だった場合。子供が100点とらなかったのに、5000円あげていいのか。
頑張ったから5000円あげよう、となったら、約束をやぶったことになるのか?と考えると微妙になってきます。
前提条件が崩壊した時に、結論の真偽はどちらでも、全体としては、正しいことになる、ぐらいに考えて、前提が偽の時に、結論は真でも、全体として真だ、とでも思っておきましょう。
こういったことを含めて、本書ではP25の中段で「はっきり偽でないことは、真とする」という説明の仕方をしているのだと思います。が、そんな結びつきは書いてありませんけどね・・・。
そして、真理関数という概念を導入しています。
P,Qの真偽を入力と捉えると、その入力の組み合わせによって、全体の真偽が出力されるという捉え方です。
F(P,Q)= 真or偽 という関数だ、と言っているということです。
関数だと捉えてしまえば、形式的な論理展開は全て機械的に変形していくことができてしまいます。これは非常に便利で楽です。意味を気にせずに「この形式の展開で、この部分が正しければ、この結論は正しい」といったことがわかるようになります。
ビジネスをやっている人の感覚では、経営管理の管理指標のつながりのイメージをしてもらえばわかるでしょうか?
すごく簡単な例を出すと、利益=売上-コストなので、「売上が増分がコストの増分より大きい」が真ならば「利益が増える」が真であるとかそういうイメージです。
契約数=訪問数×定数であることがわかっているならば、「訪問数が増える」が真ならば「契約数が増える」が真なのは自然にイメージがつきますよね?
KPIの設定などで、こういう形式的なロジックはすごく大事ですね。全体目標の指標を部分目標の指標にわけて、∧、∨、⇒、を組み合わせて、全体目標を真にするためには?と考える。
等式変形的に文章を捉えるというのは、こういうことに力を発揮します。
もう少し、事業会社の経営企画よりで考えると、市場における事象の因果関係を捉える時に使ったりもします。
このマーケットの市場規模が増えているのに、自社のシェアが落ちているのはおかしいのではないか?とか。事象間の分析にも、こういう形式的な論理の真偽の組み合わせと全体の真偽の関係が力を発揮します。
構造を捉えて、外部のどの状況が真だと言えて、そうすると、その部分の真偽を組み合わせて、どんな全体が真だと言えるのか?
これはまさに市場の分析などにも使えます。
当然、意味論的な確認は必要です。本当に事実としてそう言えるのか?
まさにファクトベースですね。ただ、市場の分析から自社のアクションまでつなげる時には、事実対応としての意味論ではなく、主語にとっての意味論が絶対必要になってきます。研究としては語用論に近い領域ですが、今日はおいておきます。
それで、最後についている練習問題は簡単ですので、自分でノートに書いてやってみることをオススメします。書かないとできるようにはならない。経営企画やマーケをやっている人は市場の状況をまじめにノートに書いたりしますよね?
今日はちょっと長かったですが、こんな感じです。
ようやく第2節まで解説が終わりましたね・・・。それでは次回をお楽しみに。
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P23~25:真理値の関係を真理表に探る
または=∨、かつ=∧、ならば=⇒、に関する真理表の解説です。
これらの記号は命題を接続するものです。なので、最小でも2つの命題がくっついた論理式に関しての真偽を問題にします。
例として、P∨Q、P∧Q、P⇒Qについての真理表が出ています。
そして、下にはその解説があります。
ただ、あっさり書いてあるので、意味がわからんと思います。なので、ちょっと解説を書きます。
この3つの真理表は本当は覚えたほうがいい基本的なものです。是非、覚えるぐらい眺めて考えましょう。
まず、このPとQがそれぞれの真偽の組み合わせの時、全体としてどうなるのか?が論理学の言う、「真偽の構造」というもので、それを表現したのが真理表ですね。これまで、しつこく著者が言ってきたことです。こういった、文の論理構造を明らかにすることが論理学の関心である、と。
で、その割に、P∨Q、P∧Q、P⇒Qの説明はあっさりしています。
まず、P∨Qについて説明しましょう。
Pが真である時、PまたはQは真であるか?と言われれば、Qの真偽に関わらず真ですね。これはイメージがわくでしょうか。
「または」という記号は、「選択的でないがどちらかである」つまり「どちらでもよい」という意味で捉えるといいと思います。そうすると、Pが真なら、PとQのどちらかは真であるということですから、PまたはQは真です。
これはQについても言うことができますね。Qが真ならPまたはQはPの真偽によらず真です。
なので、PもQも偽である時だけ、PまたはQは偽となります。
PかつQは、PとQの両方が、と読んでください。
そうすると、P、Qのいずれかが偽であれば、全体も偽になってしまいますね。だから、PとQの両方が真の時に真。どちらかが偽である、または両方が偽である場合は全体も偽となります。
それで、やや問題なのは、P⇒Qです。これは、Pが真でQが真の時は、真であることは納得できますし、Pが真でQが偽の時は、偽であることは納得できます。
しかし、Pが偽で、Qが真の時に、全体が真になるのも違和感があるし、PもQも偽である時に全体が真になるのも、変な感じがします。
例えば、
P:子供がテストで100点を取る
Q:親が子供に5000円を与える
にしてみましょう。こういう約束をある親子がしたとしましょう。
100点をもし子供が本当に取ったら、5000円あげないと親は嘘つきです。100点とったら5000円をあげるが実行されれば真です。子供が100点取ったのに、5000円をあげなければ、偽です。
子供がもし、100点を取らなかった場合。
普通に考えると、親は子供に5000円あげないことになります。つまり、100点を取るが偽だったら、5000円をあげるも偽になると、全体として真になる。真理表の最後は確かに成立しているように思います。
問題は、100点を取るが偽の場合に、5000円をあげるが真だった場合。子供が100点とらなかったのに、5000円あげていいのか。
頑張ったから5000円あげよう、となったら、約束をやぶったことになるのか?と考えると微妙になってきます。
前提条件が崩壊した時に、結論の真偽はどちらでも、全体としては、正しいことになる、ぐらいに考えて、前提が偽の時に、結論は真でも、全体として真だ、とでも思っておきましょう。
こういったことを含めて、本書ではP25の中段で「はっきり偽でないことは、真とする」という説明の仕方をしているのだと思います。が、そんな結びつきは書いてありませんけどね・・・。
そして、真理関数という概念を導入しています。
P,Qの真偽を入力と捉えると、その入力の組み合わせによって、全体の真偽が出力されるという捉え方です。
F(P,Q)= 真or偽 という関数だ、と言っているということです。
関数だと捉えてしまえば、形式的な論理展開は全て機械的に変形していくことができてしまいます。これは非常に便利で楽です。意味を気にせずに「この形式の展開で、この部分が正しければ、この結論は正しい」といったことがわかるようになります。
ビジネスをやっている人の感覚では、経営管理の管理指標のつながりのイメージをしてもらえばわかるでしょうか?
すごく簡単な例を出すと、利益=売上-コストなので、「売上が増分がコストの増分より大きい」が真ならば「利益が増える」が真であるとかそういうイメージです。
契約数=訪問数×定数であることがわかっているならば、「訪問数が増える」が真ならば「契約数が増える」が真なのは自然にイメージがつきますよね?
KPIの設定などで、こういう形式的なロジックはすごく大事ですね。全体目標の指標を部分目標の指標にわけて、∧、∨、⇒、を組み合わせて、全体目標を真にするためには?と考える。
等式変形的に文章を捉えるというのは、こういうことに力を発揮します。
もう少し、事業会社の経営企画よりで考えると、市場における事象の因果関係を捉える時に使ったりもします。
このマーケットの市場規模が増えているのに、自社のシェアが落ちているのはおかしいのではないか?とか。事象間の分析にも、こういう形式的な論理の真偽の組み合わせと全体の真偽の関係が力を発揮します。
構造を捉えて、外部のどの状況が真だと言えて、そうすると、その部分の真偽を組み合わせて、どんな全体が真だと言えるのか?
これはまさに市場の分析などにも使えます。
当然、意味論的な確認は必要です。本当に事実としてそう言えるのか?
まさにファクトベースですね。ただ、市場の分析から自社のアクションまでつなげる時には、事実対応としての意味論ではなく、主語にとっての意味論が絶対必要になってきます。研究としては語用論に近い領域ですが、今日はおいておきます。
それで、最後についている練習問題は簡単ですので、自分でノートに書いてやってみることをオススメします。書かないとできるようにはならない。経営企画やマーケをやっている人は市場の状況をまじめにノートに書いたりしますよね?
今日はちょっと長かったですが、こんな感じです。
ようやく第2節まで解説が終わりましたね・・・。それでは次回をお楽しみに。
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