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インサイト100コンサルティング
> ピュアだった頃・・・
 システムコンサルティングの戦略グループにいる友人と食事をした。以前のブログにも書いたが、彼はのんびりした会社にずっといたのだが、何を思ったのか、突然、コンサルティングへと転職した。それから1年ぐらいだろうか。この前、会ってから1ヶ月ぐらい。だいぶ参っている様子だった・・・。

友人:「シェアードサービスのプロジェクトが現場の抵抗でうまく行ってないんだよね。業務改革自体は現場がすごく抵抗するもんだっていうのはわかっているんだけどさ・・・。」

私:「俺は、現場が抵抗するような業務改革自体に問題があると思うけど・・・。ベストプラクティスなんて幻想だと思っているからね。」

友人:「そうかな。経営陣が従業員を管理するために、KPIの設定とか、管理会計とか、そういうのは必要で、従業員は管理されるのが嫌なんだとは思うけど。それで、今回のプロジェクトではディレクターが、ヒューマンリソースに問題があるって言い出してさ。次のフェーズでチェンジマネジメントの提案を経営陣にすることになってるのが、ちょっとおかしい気はしてるんだけど。」

私:「チェンジマネジメントって、具体的にどうしろってこと?」

友人:「現場の人たちはシェアードサービスを実行するためのライトスタッフではないから、リストラクチャリングをして、人員の再配置をすべきっていう提案をするんだよね。」

私:「要は、今のスタッフだと、シェアードサービスはうまくいかないから、人を変えろってことか。すごい責任転嫁だね。」

友人:「いや、論理的には正しい気がするんだ。だけど、なんか違う気がするんだ。でも、もう提案することは決まっていて、あとは向こうの経営陣がどう考えるかだけどね。」

 彼の言葉を聴いていると、新卒でコンサルティングに入ってしまって、ピュアだった頃の自分を思い出してしまう。コンサルティング会社が謳う経営コンセプトを真顔で信じて、企業の経営陣と従業員を切り離し、対立するものとして考えてしまう。

 その頃の自分は、神谷町に住んでいて。会社まで徒歩10分。夜中まで仕事をすることが当たり前で、バリバリとお仕事をすることが最高にかっこいいと信じていた気がする。最低でも課長クラス、部長クラスと仕事の話しを新卒の時点からすることにステータスを感じていたとも思う。

 今、思い起こすと本当に若かったと思う・・・。事業会社での経営の意思決定や日常というものは、本当はそんなものではないことに気がつくのにすごく時間がかかった。クライアントへのインタビューにしても、鼻持ちならない若造というふうに見えていたと思う。

 その頃、総合化学メーカーからKさんという人が転職してきた。彼はスーパーコンピューターの研究でアメリカの大学の博士号を持っているコテコテの関西人。出世コースに乗っていて、その競争が本当に嫌で、どうしよう?と思っていたときに、転職を思い立って、私のいた会社に転職してきたそうだ。

 今思うと、本当にお世話になった。ありがたかった。その人との会話で印象的だったものがある。

Kさん:「部門Aと部門Bに共同でこんなことをやりましょう、と提案した時に、部門長はどういう基準で判断をすると思う?」

私:「え、そりゃー、そのプロジェクトをやることで、業績が上がるとか、コストが下がるとか、効率が上がるとか、そういうことを考えるんじゃないんですか?」

Kさん:「いや、そんなことはどうでもいいねん。部門Aの部門長は、えーっと、部門Bの部長って誰だっけ?あー、あいつか。あいつは好かん好かん。やめとこ、ってなふうになるんよ。」

私:「本当ですか?大企業でもそうなんですか?それって正しくないと思うんですが・・・。」

Kさん:「いや、好き嫌いは、人が動くときにはすごく大事なことでっせ。覚えといて損はないと思いますよ。それと経営に正解なんてないですからな。コンサルティングが虚業と言われるのも、わかっておいたほうがいいですわ。まあ、後々わかると思いますけどな」

 Kさんの予言どおり、私は事業会社に移ってから、本当の意味での「業務を作る」とか、「意思決定」とか、そういうものについてリアルに学ぶ羽目になる。そして、周囲の人間を巻き込み、動かすということについても、痛い思いをしながら学んでいくことになる・・・。コンサルティングにいた頃とは、別の意味で本当につらい思いをした・・・。

 その辺の過去は置いておくとして、ある意味でのコンサルティングへの盲信と若い割りにそれなりにいい給与が、コンサルティング会社の末端の人間のモチベーションを形作っている。けっこう悲しいことではある。

 まあ、コンサルティングバリューというものが、無いのか?と問われれば、私の中でも「確かにある」という答えにはなる。ただ、その際に、良心的にやるのか、やらないのか?という論点に対する答えが、別にビジネスに良心なんていらない、という解を出している人も多々いることはいる。だから、コンサルティングの悪い側面を強調する人も多い。

 こんな本↓もありましたね。読んだ当時はピュアだったので、気分が悪くなりましたが・・・。
 
コンサルティングの悪魔―日本企業を食い荒らす騙しの手口コンサルティングの悪魔―日本企業を食い荒らす騙しの手口
(2000/10)
ルイス ピーノルト

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ザ・コンサルティングファーム―企業との危険な関係ザ・コンサルティングファーム―企業との危険な関係
(1999/12)
ジェームズ オシーア、チャールズ・マーティン マディガン 他

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 物事には光も影もある、と言ってしまうと達観しすぎですけどね。こういうケースを越えて、ビジネスナレッジの生産と普及をしていければな、と思っております・・・。


          

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2007.12.10(13:18)|コンサルティングコメント(1)トラックバック(1)TOP↑
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・過去に人類が考えてきたこと(Thought)を蓄積し、そこから鋭い洞察(Insight)を生み出し、その洞察がまた、Thoughtの一部になっていくプロセスを回していくこと。そのプロセスが社会のナレッジ量を増加させ、全ての価値を生み出すことを認識すること

・先人の知恵に対する敬意を払い、学び続けること。ナレッジの自己への入力量が自身の考える能力を向上させ、社会のナレッジ量を増加させることを知ること

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・社会に対する志を持つ企業、個人をクライアントとすること。例え儲かるとしても、志を持たない企業、個人をクライアントとしないこと

・クライアントの成長を望むこと。具体的な解の提示よりも、その解を出すプロセスをシェアすることにより、クライアント自身がプロセスを組みなおし、異なった解を出す力を増加させることに重きを置くこと

・抽象的な理論のレイヤから、クライアントサイドの具体へと寄っていくこと。ただし、その過程でクライアントにも具体のレイヤから抽象のレイヤに寄ってもらうこと。その上で、中間のレイヤでクライアントと共に新しいナレッジを生み出していくこと
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