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インサイト100マーケティング
> ビジネス書によくあるファンタジー
 紀伊国屋で資料を物色することが多いのですが、平積みになっている本はついでに買おうかとパラパラ読んでみることがあります。

 で、読んでみて、あまりに衝撃的なファンタジーを書いている本が売れていたので、衝撃を受けました。こんなもんが売れていいのかな・・・、と。

 とある国の鉄道事業が衰退した理由を社内勉強会で問うているシーンがあったのですが、鉄道会社が衰退した理由は、「自分たちの事業を鉄道事業だと思っていたから」だそうです。

 航空とか、トラック輸送とか、そういう競合が出てきた時に、自分たちの事業を輸送事業だと思っていれば、衰退しなかったそうです・・・。

 あのね、競合が出てきたら、売上、収益ともに減るのよ。これは絶対ですよ・・・。

 そりゃね、好意的に解釈して、自分たちを輸送事業だと思っていれば、航空や陸運にもちょこちょこ出資したりして取り込むことができた、みたいな話なら多少は許せます。

 でもね、またね、これを成長期の市場に適応するのがいいんだ!的に主張して、しょぼい新興国でサムスンにボロ負けするわけですよ・・・。

 事業の再定義が先進国、成熟市場で必要なことは認めます。だから、今の日本市場では、こういう事業領域の再定義はすごーく大事。

 でもね、競争にクリティカルに効く要因は市場ごとに違っていて、こういうもんは、新興国ではあんまり効かんのですよ。

 競合が出てきたら、どんな市場の再定義をしようとも、収益は減るんですよ。

 成熟市場の一部において、価格の下落圧力に抗しうるような、市場の再定義はあるし、その研究は進んでいます。でも、それを一般化してはいけません。

 そういうのを思考停止と言います・・・。

 ビジネス書にファンタジーが溢れています。もう本当に、ちょっとうまくいったことを拡大的に一般化しないでよと思うわけです。

 正しいことを言うと、つまらんと言えば、つまらんのですけどね。そして、人はファンタジーを求めている面もあるんですけどね。

 成熟市場における市場の再定義には賛成。顧客視点で再定義?まあ、いいでしょう。

 でも、それをあらゆるライフサイクルに当てはめることは反対。歴史的に鉄道事業が衰退した理由に当てはめるのも反対です。そして、新興国でそれをやるのも反対ですよ。

 読んでいて、思わずため息が出ました。

 今日はこれだけです。ごめんなさい。

 それでは次回をお楽しみに。
 
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2013.09.13(09:16)|マーケティングコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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