fc2ブログ

**********************************************************************
メールマガジン「インサイト100」
週に1回配信中。
登録は⇒http://www.taii.jp/
**********************************************************************
インサイト100マネジメント
> 日本企業とコミュニティー
 さて、前回、企業は権力を行使する仕組みであるといったことを書きました。

 で、日本企業は、株主の権力をないがしろにする形で成立していることにも触れました。持ち合いや買収防衛策によって株主による企業の監視はいい加減になっている。

 経営者も、どちらかと言えば労働者の側です。労働者から出世した人が経営者になりますからね。そうするとね、普通は資本の毀損が起こります。

 企業は株主が所有していて、株主のカネで設備から何から買っているわけですが、こういった会社の資産は通常、株主の監視がうまくいかないと、毀損するわけです。

 東南アジアあたりでは、アルバイトが物流センターからいろいろ持って行ってしまったりしますよね・・・。モノが盗まれる。大事に使われない。

 ただ、日本企業の場合、それほどこういった問題が起こらない。

 なぜか?

 それは、いわゆる終身雇用という伝説が、日本人の感覚に合うからです。長期的関係だと思えば、資本を毀損しないインセンティブが働き、ずっとその会社にいるなら、「うちの会社」になる。「うち」になる。

 借地借家法でも似たような事態が起こっています。

 家は家主の財産なわけですが、住んでいる人の権利が異様に強いのが日本ですね。これは財産権の侵害ではないか?と思うほどに、そこにいる人の権利が強い。

 そうすると、資本の毀損が起こりにくい。ただ、これも崩れてきていますが・・・。

 そして、もう1つの日本人の特徴として、現場が強いというのがあります。ジョブディスクリプションががっちり決まっておらず、現場が裁量で実行する。けっこう、勝手にやるやつも出てくる。

 有名な「太鼓の達人」というゲームがありますが、役員会で企画が否定されても、現場が勝手に開発を進めて、作ってしまい、世に出したというのはけっこう有名な話ですよね。

 上から何かが降りてくるというより、現場から上がる。「事件は会議室で起こっているんじゃないんだ!」が日本人にはなじむわけです。

 会社を自分たちの「うち」だと考え、ゆるい統制のもとで、現場が自発的に考えて動く組織が日本の組織の特徴なわけです。

 これは、機能集団というより、コミュニティーです。機能集団としてのカンパニーではなく、共同体としてのコミュニティーです。

 企業は法律上は株主のもので、利益を上げるために存在しているはずなわけですが、企業は日本では労働者のコミュニティーと化している。

 憲法上は3権分立の建て前があるにもかかわらず、官僚が立法も行政もやっている実態を見るに、民間も役所もとても似ています。これはそもそも欧米型の国民国家ではない。企業も有限責任でリスクを取りやすくし、儲けを追求する入れ物ではなくなっている。

 よく考えると恐ろしいことです。

 で、株主から監視されているわけではないですが、長期の関係のもとに相互監視が働く。現場で人望があり、かつ、仕事ができる人が権限を握る。必ずしも上ががっちり見ているわけではない。

 こういった日本的企業に入っていくためには、日本的に和を尊びつつ、自発的に動ける、というのが必要になるわけですね。

 ただ、この日本企業の特徴が、自動車以外は競争力を失いつつあり、アップルやら、サムスンなどのような独裁的、トップダウン企業が力を増している。

 日本でも、ソフトバンクやユニクロなど、ある意味で独裁的に上から物事を決めるタイプの企業が伸びている。

 というところで、一昔前の日本では抜擢されなかったようなタイプの人が、何かしらの変革を期待されて、いろいろやるようにはなってきているわけです。

 この中で、人材というのはどうあるのだろう?というのは1つの大きな興味深い問いなわけですが、それはまた次回に書きましょう。

 それでは今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。


 
関連記事
スポンサーサイト



2014.01.27(20:35)|マネジメントコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
名前:
コメントタイトル:
メールアドレス:
URL:
コメント:

パスワード:
管理人だけに表示:
管理者にだけ表示を許可
Twitter
メールマガジン登録
メールマガジン「インサイト100」週に1回配信中。登録は⇒http://taii.jp/の登録窓から
プロフィール
推薦図書
経営理念
弊社のコンサルティングのポリシーです。

・過去に人類が考えてきたこと(Thought)を蓄積し、そこから鋭い洞察(Insight)を生み出し、その洞察がまた、Thoughtの一部になっていくプロセスを回していくこと。そのプロセスが社会のナレッジ量を増加させ、全ての価値を生み出すことを認識すること

・先人の知恵に対する敬意を払い、学び続けること。ナレッジの自己への入力量が自身の考える能力を向上させ、社会のナレッジ量を増加させることを知ること

・社会のビジネスナレッジの偏在を正すことを目指すこと。そのために社会の構成員であるクライアントに対してビジネスナレッジを提供すること

・ビジネスナレッジの偏在を利用する悪貨たる企業を駆逐する良貨たらんとすること。そのために偏在を利用する企業以上のマーケティング力を持つこと。そして、提供したナレッジに見合った対価をクライアントから頂き収益を上げ、成長していくこと

・社会に対する志を持つ企業、個人をクライアントとすること。例え儲かるとしても、志を持たない企業、個人をクライアントとしないこと

・クライアントの成長を望むこと。具体的な解の提示よりも、その解を出すプロセスをシェアすることにより、クライアント自身がプロセスを組みなおし、異なった解を出す力を増加させることに重きを置くこと

・抽象的な理論のレイヤから、クライアントサイドの具体へと寄っていくこと。ただし、その過程でクライアントにも具体のレイヤから抽象のレイヤに寄ってもらうこと。その上で、中間のレイヤでクライアントと共に新しいナレッジを生み出していくこと
カテゴリー
月別アーカイブ
RSSフィード
ブロとも申請フォーム