こんにちは。伊藤です。
昨日は暖かく春のようでしたが、
今日は普通に冬ですね。
さて、今日は大学で学生を見ていて、
いわゆる自閉的な子供、コミュニケーションに問題がある子供をなんとかするのが一番大変なのですが、
そのステップを少し書いてみようと思います。
まずね、一番困るのは、しゃべれない人。
口がそもそも動かない人。
いわゆるインテンション認知能力が低い中で、
なんとかするのが最も困難なケースです。
ただ、これは週に1回、2回、音読を1時間半ぐらい
ぶっ続けでやってもらえば、解決します。
「口から出まかせ」で言葉が出るようになる。
こうなると、けっこう発話行為自体が楽しくなって、
誰かと話したくなります。これはいい傾向ではあります。
しかし、出るようになったところで、まだ壁は高い。
口から出まかせにしゃべれるようになったとして、
しゃべってはいけないこと、公共の場でしゃべるのが不適切なこと、
そのシチュエーションでしゃべるのが適切なことなどがわからないわけです。
確かに、子どもの頃は、いろいろと勝手にしゃべりますよね。
勝手にしゃべるから周りの子ども、大人の反応で学べる。
よい反応があることが残り、悪い反応があるものはやめていく。
こういう自然淘汰が、発話の内容、言い方で起こってくる。
しかし、しゃべれなかった人はこの量が圧倒的に足りない。
しゃべりまくる人で、空気が読めない人も同様ですね。
自分が話していることに他人がどのように反応しているかわからない。
だから、空気を読まずにしゃべり続けてしまう。
ここへの処方箋は、人を典型的にバカにする行為は全て指摘することです。
特に、「笑い方」がわかりやすい。鼻で笑う、乾いた笑いなどが自然に出たら、
それはダメだと指摘する。
その行為に結びつく内的表象自体がよろしいものではないことも指摘し、
そういうのを「上から目線」って言うんだよ、と教え、禁止しないといけない。
それと、他人に何かを言った時、嫌な顔をしたケースを覚えておいてもらって、
報告させる。それはこういうことだという解釈をロジックで教える。
これを繰り返すわけです。そうすると少しずつわかってくる。
ただ、この抑制はけっこう大変です。
この段階での学習が進むと、言おうと思ったことに対して、一歩立ち止まるようになる。
ただね、はじめに子供がやる推論は的外れです。
統合失調症じゃないかと思うような推論をしてきます。
社会適応できるタイプの人は、推論が「常識的」なのですが、
これまで、人の言っていることから、裏を読むとか、文脈を読むとか
そういったことをしてこなかった人に推論をさせないといけない。
これはとても難しい。
以前、Twitterで話題になっていましたが、とあるやばい人が自分のスポーツジムでの体験を
Twitterに書いていたんですね。とあるジムのインストラクターが自分に微笑みかけてきた話です。
その人は、そのインストラクターが自分のことを好きに違いないという推論をした。
そして、手紙を渡した。渡したけど反応がない。
おかしいと思って、もう一度渡した。別の人からそういうのは職場なのでご遠慮願いますと来た。
それがおかしいとTwitterにいっぱい書き込んだ。女の子はその話を私にする時に、「キモいですよね!!!」
と絶叫していましたが、でもそうでもないんです。
それは推論をする能力の問題だし、人によって程度問題で起こる。
恋愛というケースだから、女子にはキモいと感じられるのでしょうが、
恋愛でなければ、統合失調という診断になったりしますよ。
家の前をロシア人ぽい人が歩いていたら、KGBが自分を調査しているのではないか?
ウクライナ情勢が緊迫しているし・・・、という推論も、恋愛での女性への勘違いと同様にある話です。
他人が何を意図しているのか?に関して、一生懸命意味を読むのは、ケース数と正しいフィードバック数が
必要になるわけです。
ただ、他人の反応、意図を予測しつつ、話をするようになるのはいい傾向であることは間違いない。
何もしゃべらないより、確実に前に向かっている。
だから、何かしゃべろうとする時に口ごもる。
しゃべれない状態から始まった人が、以前に言葉が出なかった状態と、
症状は似ていますが、少し違うわけです。ここでは、言っていいのかを少し立ち止まりながら
しゃべるようになる。
そして、少しずつ、推論が正しくなる。
ここまで来れば、少しリアクションが微妙だけど、普通の人の仲間入りができます。
これをまじめにやって、半年から1年かかります。
ここから、コミュニケーターになっていくのに、情動を使うとか、論理を使うとか、
テクニカルなことを教えていくのですが、自閉傾向の人が一番困難を感じることがあります。
それは、「雑談を普通にすること」です。
「雑談で売ろう」とかいう本がありますけど、
これだけコミュニケーションがきつい人が増えているのに、そんな高度なことできるわけないでしょ・・・、
と思ったりします。
ただ、学習障害傾向で、インテンション認知能力が高いタイプは少数ですがいます。
そういう人には雑談セールスのほうがいい。変に理論を教えないほうがいいですね。
もう首都大に来て3年と少しですが、
とほほほほ、と思うような子供が本当に多いですね。
もうおなかいっぱいではあります。
それでは今日はこのあたりで。
次回をお楽しみに。
昨日は暖かく春のようでしたが、
今日は普通に冬ですね。
さて、今日は大学で学生を見ていて、
いわゆる自閉的な子供、コミュニケーションに問題がある子供をなんとかするのが一番大変なのですが、
そのステップを少し書いてみようと思います。
まずね、一番困るのは、しゃべれない人。
口がそもそも動かない人。
いわゆるインテンション認知能力が低い中で、
なんとかするのが最も困難なケースです。
ただ、これは週に1回、2回、音読を1時間半ぐらい
ぶっ続けでやってもらえば、解決します。
「口から出まかせ」で言葉が出るようになる。
こうなると、けっこう発話行為自体が楽しくなって、
誰かと話したくなります。これはいい傾向ではあります。
しかし、出るようになったところで、まだ壁は高い。
口から出まかせにしゃべれるようになったとして、
しゃべってはいけないこと、公共の場でしゃべるのが不適切なこと、
そのシチュエーションでしゃべるのが適切なことなどがわからないわけです。
確かに、子どもの頃は、いろいろと勝手にしゃべりますよね。
勝手にしゃべるから周りの子ども、大人の反応で学べる。
よい反応があることが残り、悪い反応があるものはやめていく。
こういう自然淘汰が、発話の内容、言い方で起こってくる。
しかし、しゃべれなかった人はこの量が圧倒的に足りない。
しゃべりまくる人で、空気が読めない人も同様ですね。
自分が話していることに他人がどのように反応しているかわからない。
だから、空気を読まずにしゃべり続けてしまう。
ここへの処方箋は、人を典型的にバカにする行為は全て指摘することです。
特に、「笑い方」がわかりやすい。鼻で笑う、乾いた笑いなどが自然に出たら、
それはダメだと指摘する。
その行為に結びつく内的表象自体がよろしいものではないことも指摘し、
そういうのを「上から目線」って言うんだよ、と教え、禁止しないといけない。
それと、他人に何かを言った時、嫌な顔をしたケースを覚えておいてもらって、
報告させる。それはこういうことだという解釈をロジックで教える。
これを繰り返すわけです。そうすると少しずつわかってくる。
ただ、この抑制はけっこう大変です。
この段階での学習が進むと、言おうと思ったことに対して、一歩立ち止まるようになる。
ただね、はじめに子供がやる推論は的外れです。
統合失調症じゃないかと思うような推論をしてきます。
社会適応できるタイプの人は、推論が「常識的」なのですが、
これまで、人の言っていることから、裏を読むとか、文脈を読むとか
そういったことをしてこなかった人に推論をさせないといけない。
これはとても難しい。
以前、Twitterで話題になっていましたが、とあるやばい人が自分のスポーツジムでの体験を
Twitterに書いていたんですね。とあるジムのインストラクターが自分に微笑みかけてきた話です。
その人は、そのインストラクターが自分のことを好きに違いないという推論をした。
そして、手紙を渡した。渡したけど反応がない。
おかしいと思って、もう一度渡した。別の人からそういうのは職場なのでご遠慮願いますと来た。
それがおかしいとTwitterにいっぱい書き込んだ。女の子はその話を私にする時に、「キモいですよね!!!」
と絶叫していましたが、でもそうでもないんです。
それは推論をする能力の問題だし、人によって程度問題で起こる。
恋愛というケースだから、女子にはキモいと感じられるのでしょうが、
恋愛でなければ、統合失調という診断になったりしますよ。
家の前をロシア人ぽい人が歩いていたら、KGBが自分を調査しているのではないか?
ウクライナ情勢が緊迫しているし・・・、という推論も、恋愛での女性への勘違いと同様にある話です。
他人が何を意図しているのか?に関して、一生懸命意味を読むのは、ケース数と正しいフィードバック数が
必要になるわけです。
ただ、他人の反応、意図を予測しつつ、話をするようになるのはいい傾向であることは間違いない。
何もしゃべらないより、確実に前に向かっている。
だから、何かしゃべろうとする時に口ごもる。
しゃべれない状態から始まった人が、以前に言葉が出なかった状態と、
症状は似ていますが、少し違うわけです。ここでは、言っていいのかを少し立ち止まりながら
しゃべるようになる。
そして、少しずつ、推論が正しくなる。
ここまで来れば、少しリアクションが微妙だけど、普通の人の仲間入りができます。
これをまじめにやって、半年から1年かかります。
ここから、コミュニケーターになっていくのに、情動を使うとか、論理を使うとか、
テクニカルなことを教えていくのですが、自閉傾向の人が一番困難を感じることがあります。
それは、「雑談を普通にすること」です。
「雑談で売ろう」とかいう本がありますけど、
これだけコミュニケーションがきつい人が増えているのに、そんな高度なことできるわけないでしょ・・・、
と思ったりします。
ただ、学習障害傾向で、インテンション認知能力が高いタイプは少数ですがいます。
そういう人には雑談セールスのほうがいい。変に理論を教えないほうがいいですね。
もう首都大に来て3年と少しですが、
とほほほほ、と思うような子供が本当に多いですね。
もうおなかいっぱいではあります。
それでは今日はこのあたりで。
次回をお楽しみに。
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