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インサイト100マネジメント
> 近代の矛盾
おはようございます。伊藤です。

テレビをつけたら、2002年サッカーワールドカップがやっていました。
今見ると、日本代表のサッカーはとても見れたものではありませんが、
当時としては現実的な選択だったんだなあ、と思いました。

さて、今日は「近代の矛盾」について書いてみます。
これは組織マネジメント上、非常に重要な問題です。

この近代の矛盾はネグリ・ハートも「帝国」で指摘していますし、
ハイエクも、フーコーも「自由」の問題で扱っています。

帝国は大学の読書会で逐文解説していますが、
とてもじゃないけど、普通の人は読めないので、読まなくていいと思います。
ただ、読めるとモダンとポストモダンがすごくわかりますけどね。

<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性<帝国> グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性
(2003/01/23)
アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート 他

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その近代の矛盾とは何かと言えば、フランス革命で、「自由、平等、博愛」という建て前が成立しましたが、
本当に人は自由で平等なんでしょうか?というお話です。

みんなで協力的に何かするのが望ましいのですが、その協力的である環境、つまり秩序を維持するためには、
警察権力であったり、軍事力であったりといった暴力が必要になります。

人は平等なはずですが、企業では、上司から命令されます。

教育の現場では「みなさんが主権者なんです!平等で自由なんです!」ということが強調されますが、
就職してみるとそうでないことには気が付く。会社にいろいろと命令される。程度問題ですが、自分の自由は制限される。

まあ、最近の学生でこの部分を徹底して勘違いしている人は、社会にすら出られませんけどね・・・。

それでね、この問題には極論的な解を主張する人が多い。

いわゆる社民党的に「徹底して人は自由で平等なんだから、全て国家が面倒を見ろ!」というような主張と、
自民党の改憲案のように、「国民は義務を果たせ!」というような主張です。

これはね、極論では片付かないで、絶妙なバランス感覚が必要で、
この感覚は文化、慣習ごとに違う規範になるわけです。いわゆる「社会科学」の領域ですよね。
答えが個別論でしか定まらないわけです。その根拠は伝統に支えられた人の感覚になるわけです。

じゃあね、平等であるはずの人たちに命令しないといけない企業は、
「従業員にどう命令されるのを受け入れてもらうのか?」という問いにぶち当たる。

これがマネジメント上の大きな問題なわけです。

従業員に「自発的に考えるように仕向ける」とか、そういうことをしないといけなかったり・・・。

確かに長期的関係をベースにできれば、下に丸投げして、下が自発的に考えるという形を取ることができます。
資本が大きく、資本生産性が高い大企業の場合はこれが持続可能です。

しかし、中小企業ではこれが持続可能ではない。上場企業を見ても、比較的小さい会社の平均勤続年数は5年を切っていますし、平均給与は300万~500万です。それ以下の中小企業は当然それよりも条件が悪い。

その中でマネジメントをどうするか?がとても難しいですね。

宗教的な怪しげな教えも多数ありますが、結局は全て、組織の権力構造を受け入れてもらうための方便です。
人は自由で平等なはずだけど、命令されて動く立場にあり、自発的に命令に従ったりする従業員が必要なわけです。

ビジョンさえ示せば、自発的に寝る間も惜しんで働いてくれる人を生産できる組織が理想かもしれませんが、
そこまでうまくいくケースはレアでしょう。

この時、どこまで自由でどこまで言うことを聞くのか?という規範の設定が自分の組織内でどうなっているのか?
がマネジメント上では重要なわけです。

そこに自覚的なマネジャーとそうでないマネジャーは成果に違いが出るでしょうね。
ただ、無意識的にうまくやれる人もいますが、そういう人は放っておけばいい。

前に、とある企業で「学生気分から切り替えるような研修が欲しい」というようなことを言われましたが、
確かに、「自由で平等な主権者」と育てられた学生に、「不自由で階層の下部を構成する従属者」になってもらうということは、けっこうなハードルです。

それを踏まえた採用から考えることが妥当だと私は思いますけどね。
何も考えずに採用した人を、一気に変えられる研修なんて、性質の悪い洗脳でしかない。
自己啓発セミナーはそもそも米軍で開発されたもので、喜んで死地に赴く戦士を作るものでしたから、
多少効果はあるでしょうけどね・・・。

というようなことに自覚的か否か?がマネジメントをちゃんと考えられるか否かの
違いだと思っています。

解決策や、考える方向性はそれなりにありますが、また別の機会に書きますね。
それでは今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。
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2014.06.03(07:58)|マネジメントコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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