今日は経営戦略で有名なバーニーの命題とそのおかしな点について書いていきます。
バーニーの命題はみなさんご存じだと思いますが、引いておきます。
(1)ある企業の経営資源に価値がありかつ希少であれば競争優位を獲得する
(2)そのリソースが、他社には模倣不可能でかつ代替するものが無いとき、その企業は持続的な競争優位を獲得する
この命題をフレームワークに落とすと、有名なVRIOフレームワークになります。
(1)の価値がある、希少であるが、VのValueとRのRarityです。
(2)の模倣不可能と代替するものがないが、IのInimitabilityで、OはOrganizationというフレームワークです。
この4要素をもとに自社のリソースを分析していくわけですね。そして、競争優位を考えていく。
それでね、バーニーは企業のリソースを出発点にして考えるわけです。ポーターが競争を出発点にしているのと対照的ですね。いわゆるリソースベーストビューと言われるゆえんです。
ある企業の経営資源に価値があって、それが社会の中で希少、少なければ競争優位になって、その資源が他社が模倣できなくて代替もできなければ、その競争優位は持続化すると言っています。
確かに、企業は固有のケイパビリティ、他社がまねできないことをやれることが競争優位をもたらしているように見える場合は多々あります。
トヨタ自動車のカンバン方式。IBMの研究開発。総合商社の海外ネットワーク。そんなものはとてもじゃないけど真似ができないでしょう、と。
確かに価値あるリソースが競争優位をもたらしているように見えます。
ただ、ポーターのバリューチェーンを考えた後だと、少しおかしいことがわかります。『知っておきたいマイケルポーターのエッセンス』でも書きましたが、価値というのはお客さんが欲しいと思う何かです。
じゃあ、リソースが価値があるってどういうことでしょう?という問いが出てきます。
お客さんが最終的に欲しいと思う何かを提供するために、必要不可綱部分を担うリソースはきっと価値があると言えるでしょう。ポケモン関係商品を売るには、ライセンス契約などが要りますから、独占販売権でも持っていればそれは確かに価値があるリソースです。
しかし、最終商品から紐づいてリソースは価値があることがわかるのであって、リソース自体の価値を定義することは非常に難しいことはわかるでしょうか?
スポーツ選手を例にとるとわかるかしれませんが、イチロー選手がバットを持つから、そのバットは稼ぐのに必要不可欠なリソースですよね。でもね、普通の人がバットを持っていても、稼ぐリソースにはなりませんよね。
ポーターが言ったように、価格以外でお客さんが欲しいと思う何かは、企業の活動全体によって作られる。価値があるリソースを特定できるケースは稀です。
そりゃあ、田園調布の土地をたくさん持っていたら、文字通り価値あるリソースですよ。これはリソースの価値の特定が簡単なケースです。でも、自社のビジネスプロセスだったらどうでしょう?
最終製品を作る会社で、部品を生産しているケースなどでは、部品の価値の特定方法などは、会計的にいろいろとありますが、それでも面倒ですよね・・・。それが有形無形の企業資産全体だったらどうでしょう?
企業のリソースはそれがビジネスモデルとして統合されているから意味があるわけです。だから、「のれん」などという概念も会計上は存在しているんですよね。
部分論でリソースの価値を特定できる前提のバーニーの理屈は、あまり現実的とは思えません。ここが経営学でも突っ込みどころなわけです。
ただね、多角化論点ではどうしても、どのリソースを核にして多角化するかとか、そういう話になってきてしまう。その時に、このリソースは価値があると決めてしまうと楽なんですよね。
リソース優位で多角化するケースとして有名なのは、サンスターさんの自転車から歯磨き粉へというお話です。
サンスターはもともと自転車メーカーでしたが、チューブに液体を詰めるケイパビリティを持っており、そのケイパビリティが歯磨き粉のチューブ詰めに使えたわけです。
しかし、このプロセスが本当に価値があるか、つまり現在ほどカネを生むか?は、サンスターさんも懐疑的だったと思います・・・。
実際には現在当社が持っているプロセスが、業界外他社のどのようなプロセスと似ていて、当社のプロセスをそのビジネスに転用した場合に、彼らよりも相対的に低コストか高価値が実現できると思った時でなければ多角化はできませんが、手間がすごくかかります。
このとっかかりの時に、このリソースは価値があって、当社の核だから、多角化しようというのは、当初の考え方としてはある程度の説得力があります。結局は、最終顧客ベースで価値があることを確認しないとGOはできませんけれど、それだけでもこの考え方には価値があると思います。
それでは今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。
バーニーの命題はみなさんご存じだと思いますが、引いておきます。
(1)ある企業の経営資源に価値がありかつ希少であれば競争優位を獲得する
(2)そのリソースが、他社には模倣不可能でかつ代替するものが無いとき、その企業は持続的な競争優位を獲得する
この命題をフレームワークに落とすと、有名なVRIOフレームワークになります。
(1)の価値がある、希少であるが、VのValueとRのRarityです。
(2)の模倣不可能と代替するものがないが、IのInimitabilityで、OはOrganizationというフレームワークです。
この4要素をもとに自社のリソースを分析していくわけですね。そして、競争優位を考えていく。
それでね、バーニーは企業のリソースを出発点にして考えるわけです。ポーターが競争を出発点にしているのと対照的ですね。いわゆるリソースベーストビューと言われるゆえんです。
ある企業の経営資源に価値があって、それが社会の中で希少、少なければ競争優位になって、その資源が他社が模倣できなくて代替もできなければ、その競争優位は持続化すると言っています。
確かに、企業は固有のケイパビリティ、他社がまねできないことをやれることが競争優位をもたらしているように見える場合は多々あります。
トヨタ自動車のカンバン方式。IBMの研究開発。総合商社の海外ネットワーク。そんなものはとてもじゃないけど真似ができないでしょう、と。
確かに価値あるリソースが競争優位をもたらしているように見えます。
ただ、ポーターのバリューチェーンを考えた後だと、少しおかしいことがわかります。『知っておきたいマイケルポーターのエッセンス』でも書きましたが、価値というのはお客さんが欲しいと思う何かです。
じゃあ、リソースが価値があるってどういうことでしょう?という問いが出てきます。
お客さんが最終的に欲しいと思う何かを提供するために、必要不可綱部分を担うリソースはきっと価値があると言えるでしょう。ポケモン関係商品を売るには、ライセンス契約などが要りますから、独占販売権でも持っていればそれは確かに価値があるリソースです。
しかし、最終商品から紐づいてリソースは価値があることがわかるのであって、リソース自体の価値を定義することは非常に難しいことはわかるでしょうか?
スポーツ選手を例にとるとわかるかしれませんが、イチロー選手がバットを持つから、そのバットは稼ぐのに必要不可欠なリソースですよね。でもね、普通の人がバットを持っていても、稼ぐリソースにはなりませんよね。
ポーターが言ったように、価格以外でお客さんが欲しいと思う何かは、企業の活動全体によって作られる。価値があるリソースを特定できるケースは稀です。
そりゃあ、田園調布の土地をたくさん持っていたら、文字通り価値あるリソースですよ。これはリソースの価値の特定が簡単なケースです。でも、自社のビジネスプロセスだったらどうでしょう?
最終製品を作る会社で、部品を生産しているケースなどでは、部品の価値の特定方法などは、会計的にいろいろとありますが、それでも面倒ですよね・・・。それが有形無形の企業資産全体だったらどうでしょう?
企業のリソースはそれがビジネスモデルとして統合されているから意味があるわけです。だから、「のれん」などという概念も会計上は存在しているんですよね。
部分論でリソースの価値を特定できる前提のバーニーの理屈は、あまり現実的とは思えません。ここが経営学でも突っ込みどころなわけです。
ただね、多角化論点ではどうしても、どのリソースを核にして多角化するかとか、そういう話になってきてしまう。その時に、このリソースは価値があると決めてしまうと楽なんですよね。
リソース優位で多角化するケースとして有名なのは、サンスターさんの自転車から歯磨き粉へというお話です。
サンスターはもともと自転車メーカーでしたが、チューブに液体を詰めるケイパビリティを持っており、そのケイパビリティが歯磨き粉のチューブ詰めに使えたわけです。
しかし、このプロセスが本当に価値があるか、つまり現在ほどカネを生むか?は、サンスターさんも懐疑的だったと思います・・・。
実際には現在当社が持っているプロセスが、業界外他社のどのようなプロセスと似ていて、当社のプロセスをそのビジネスに転用した場合に、彼らよりも相対的に低コストか高価値が実現できると思った時でなければ多角化はできませんが、手間がすごくかかります。
このとっかかりの時に、このリソースは価値があって、当社の核だから、多角化しようというのは、当初の考え方としてはある程度の説得力があります。結局は、最終顧客ベースで価値があることを確認しないとGOはできませんけれど、それだけでもこの考え方には価値があると思います。
それでは今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。
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