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> 未来社会での人間のありようについて思うことを書いてみます。
 未来社会はどうなるのか?その社会で人間はどうなるのか?についてポストモダン思想はいろいろな道筋を見せてくれています。

 近代社会の特徴として、二項対立が挙げられます。敵と味方。内側と外側。こっちとあっち。

 ポストモダン的には、こういった対立は差異として超克されるわけです。敵と味方のような分け方をするのではなく、同一軸上での違いだという認識をするわけです。

 また、歴史のとらえ方が違います。近代では、マルクスっぽく歴史が進化していくと捉えました。全ての文化圏はやがて西欧になるとか。非西欧の人が学び続ければ西欧人っぽくなっていくとか、ね。

 それがポストモダンでは、別に一直線上の進歩ではなく、いろいろな可能性がありえる、と変わってきた。

 この捉え方の違いは、確かにいろいろなところに現れてきています。

 物語は、敵と味方、善と悪に簡単に分けられる単純なものから、第三勢力やら、多極的な世界の中で何が正しいのか迷う展開へと変わっていきます。

 また、予定調和的なベタな展開はまだまだ根強いわけですが、予定調和を越えるような物語に感動があると思うようになってくるわけです。

 もう少し深く行きましょう。

 二項対立の成立にはマスメディアが強い力を発揮します。日本人。一億総中流。個々人の差異を隠蔽するマス化が進行するわけです。画一化された情報を多数が受け取るという構造の中で国民化が行われる。

 しかし、マスメディアの次には、ネットワークメディアが台頭します。そうすると、いろいろな情報が無秩序かのように発信されるわけです。そう、クラウド化の進行が起こるのです。そうすると、同質性よりも差異が強調されるようになる。しかし、その差異はネガティブなものではなく、当然のことのように受け取られるようになる。

 ダイバーシティーが成立するわけです。同じ人間と言う中で差異があるだけ。ここに行きつくわけです。

 いろいろな可能性の中で、自分が選び取る位置付け。それは固定的なものでもなく、流れゆくわけです。流行り廃りとも言えるし、諸行無常ともいえる。すべての物事は移ろいゆくわけです。

 マイブームというか、そういった趣味的なものがアイデンティティーであったりするわけですが、その要素が複数あって、それが移り行く。そうすると確固とした自己はどこへ行ってしまうのか?

 フロー的にすべてが流れゆくのは、仏教の縁起説に近いですよね。釈迦が悟った世界観がポストモダンには当たり前になっていくのでしょうか。

 しかし、人間が完全に環境適応的ではないことが希望として残るかもしれません。

 ハイデガーのユクスキュル批判はこのあたりにあると思いますが、人間は昆虫や動物と違って、環境への適応度合いが不十分で、いろいろな可能性の中にある。生まれてから可能性としての環境に適応していく。そこには多くの選択肢があるように感じられる。

 ただ、ダーウィンのミミズの研究あたりからアフォーダンスを考えると人間がそれほど特権的でないようにも感じます。

 環境に完全に適応するなら、流れゆく世界の中でうつろいゆくフローとしての人間になってしまうのは必然です。しかし、ここに抵抗することに可能性を見いだせるのではないでしょうか?

 万物の流転に抗う人間。それは環境適応の能力の低さや不完全性から来ているわけですが、環境に完全に適応するのではなく、何かしらの確固とした特性を持つことができるかもしれない。

 といったところが、現代文学やら漫画、アニメのテーマであるように思いますが、どうでしょうかね。当然、企業のテーマであるようにも思います。ビジョンやら理念を語るなら、特にね。

 それでは今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。



 
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2015.01.26(23:52)|ソーシャルコメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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