また、1か月もブログの更新が滞りました。すいません。
今日は、完全競争市場とファイブフォースモデルのお話を書いてみます。
いわゆるミクロ経済学で完全競争市場というものをお勉強します。完全競争市場とは、財が同質で、多数の売り手と買い手が存在し、情報が完全で、参入・退出が自由な市場のことです。
当然、現実にはこんな市場は存在しません。しかし、ポーターは産業組織論出身ですから、こういったモデルをベースに彼の考えを作り上げているわけです。
このようなマーケットでは超過利潤は長期的には消えゆく宿命です。だから、すごく儲かる市場をこういったモデル上は想定しないということですね。
でもね、ファイブフォースモデルというポーターの考え方はこの考え方をベースにしています。いわゆるビジネス書には、フレームワークとして必ず記述されていると思います。しかし、それがどう使えるか?内実というか、中身はどういうものか?ということは全く書いてない。というか、書いている人が理解しているとも思えません。
それでね、ファイブフォースモデルはどう理解するのが正しいかと言えば、産業分析に際して、その産業がどの程度完全競争市場から離れているか?を分析するためのモデルと考えるのが正しいと思うわけです。
どういうことかと言えば、ポーターは「市場の魅力度をファイブフォースで分析しましょう」と言っているわけですが、それは「完全競争市場であれば超過利潤は消えゆくけれど、完全競争市場からどう離れているかによって、超過利潤が消えないことがあるよ」、と言っているということですね。
ファイブフォースは産業のバリューチェーン上の上流、下流の交渉力、競合が強くて、新規参入が多くて、代替品が強いと、その市場の収益は低下すると言っています。それは多数の売り手と買い手の存在という話の裏返しです。超過需要に際して、ワルラス的調整過程がどのように働くかと言えば、多数の買い手と少数の売り手というアンバランスによって、価格が競り上がる形で働くと考えるのが自然ですよね。価格が上がれば供給者が増えて、そこに存在した超過利潤は消えゆくわけですけど。
ただ、買い手の数、売り手の数のバランスがそれぞれの交渉力を決めるわけです。当然、現実には財は同質ではないので、財の固有性も交渉力に加味されてきます。財の同質性の裏返しもここには効いてくるわけです。
新規参入は情報の完全性や財の同質性などが効いてくるでしょう。財の生産技術が完全情報状態、つまり完全に公開されてしまうなら、参入し放題ですからね。代替品の脅威も同質性の範囲の問題でしょう。
こういったファイブフォースの理解ができていれば、戦略変数もすぐにわかるし、ポジショニングもすぐにわかります。というか、こういったファイブフォースの理解をしていない人が戦略変数だとかポジショニングについて語っていても虚しいだけですね。
ファイブフォースで完全競争からどれぐらい、どのように離れているかがわかれば、その市場における競争要因がわかってくるわけです。その競争要因について、どのように競争するか?どのような選択をするか、選択ができるかの集合体がポジショニングですよね。立ち位置は競争要因に対する選択で決まってくるわけです。
だから、安易にポジショニングは変えられませんよね・・・。また、変えてしまうと競争に対する優位、劣位などの結果が変わってきてしまいます。最終的には収益性に効いてくるわけですね。
というようなことを、ちゃんと知っているというか、考えているコンサルタントに出会うことは稀ですね。
が、こういうことがわかっていると、だいぶ戦略っぽいものが作れるのではないかと思うわけです。それでは今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。
今日は、完全競争市場とファイブフォースモデルのお話を書いてみます。
いわゆるミクロ経済学で完全競争市場というものをお勉強します。完全競争市場とは、財が同質で、多数の売り手と買い手が存在し、情報が完全で、参入・退出が自由な市場のことです。
当然、現実にはこんな市場は存在しません。しかし、ポーターは産業組織論出身ですから、こういったモデルをベースに彼の考えを作り上げているわけです。
このようなマーケットでは超過利潤は長期的には消えゆく宿命です。だから、すごく儲かる市場をこういったモデル上は想定しないということですね。
でもね、ファイブフォースモデルというポーターの考え方はこの考え方をベースにしています。いわゆるビジネス書には、フレームワークとして必ず記述されていると思います。しかし、それがどう使えるか?内実というか、中身はどういうものか?ということは全く書いてない。というか、書いている人が理解しているとも思えません。
それでね、ファイブフォースモデルはどう理解するのが正しいかと言えば、産業分析に際して、その産業がどの程度完全競争市場から離れているか?を分析するためのモデルと考えるのが正しいと思うわけです。
どういうことかと言えば、ポーターは「市場の魅力度をファイブフォースで分析しましょう」と言っているわけですが、それは「完全競争市場であれば超過利潤は消えゆくけれど、完全競争市場からどう離れているかによって、超過利潤が消えないことがあるよ」、と言っているということですね。
ファイブフォースは産業のバリューチェーン上の上流、下流の交渉力、競合が強くて、新規参入が多くて、代替品が強いと、その市場の収益は低下すると言っています。それは多数の売り手と買い手の存在という話の裏返しです。超過需要に際して、ワルラス的調整過程がどのように働くかと言えば、多数の買い手と少数の売り手というアンバランスによって、価格が競り上がる形で働くと考えるのが自然ですよね。価格が上がれば供給者が増えて、そこに存在した超過利潤は消えゆくわけですけど。
ただ、買い手の数、売り手の数のバランスがそれぞれの交渉力を決めるわけです。当然、現実には財は同質ではないので、財の固有性も交渉力に加味されてきます。財の同質性の裏返しもここには効いてくるわけです。
新規参入は情報の完全性や財の同質性などが効いてくるでしょう。財の生産技術が完全情報状態、つまり完全に公開されてしまうなら、参入し放題ですからね。代替品の脅威も同質性の範囲の問題でしょう。
こういったファイブフォースの理解ができていれば、戦略変数もすぐにわかるし、ポジショニングもすぐにわかります。というか、こういったファイブフォースの理解をしていない人が戦略変数だとかポジショニングについて語っていても虚しいだけですね。
ファイブフォースで完全競争からどれぐらい、どのように離れているかがわかれば、その市場における競争要因がわかってくるわけです。その競争要因について、どのように競争するか?どのような選択をするか、選択ができるかの集合体がポジショニングですよね。立ち位置は競争要因に対する選択で決まってくるわけです。
だから、安易にポジショニングは変えられませんよね・・・。また、変えてしまうと競争に対する優位、劣位などの結果が変わってきてしまいます。最終的には収益性に効いてくるわけですね。
というようなことを、ちゃんと知っているというか、考えているコンサルタントに出会うことは稀ですね。
が、こういうことがわかっていると、だいぶ戦略っぽいものが作れるのではないかと思うわけです。それでは今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。
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