いつまで、このベストセラー100本斬りが続くのか、自分の中でも不明です・・・。しかし、なかなか止まりませんね。
今日のネタはこの本です。「若者はなぜ3年で辞めるのか」に続く続編ですね。前著では、昭和的価値観とそれを支えるシステムが、若者を搾取する構造の上に成り立っていることを説明したんですね。
非常に納得感のあるものでした。今回は、昭和的価値観と、それを支えるシステムが古くなってきたのならば、今後あるべき、平成的価値観とそれを支えるシステムは何なのか?を描いています。
1つ1つの章で、いわゆる昭和的価値観から外へ出た人々をインタビューするという構成になっています。そして、著者のコラムもいくつか挟まっています。インタビュー対象の属性やお話しの内容から、「キャリア編」「独立編」「新世代編」に分かれていますね。
こういう本の構成から、サマライズするのは難しいのですが、著者の言わんとすることを汲み取ってみると・・・
現在、大企業の大半は、未だに昭和的価値観に支配され、終身雇用、年功序列というシステムをしいているが、このシステムは、マイナス成長、ゼロ成長を前提とすると、若者に負担を強いて、一部の中高年層だけが権益を得る、若者が中高年になった時のリターンは保障されえない、という非常にいびつなものである。
そのひずみは、若者を既得権益を持つ中高年が搾取するという世代間格差、正規雇用者が、派遣社員、アルバイトなどの非正規雇用者を搾取する、正規/非正規格差、親会社が子会社、下請けを搾取する発注、下請け格差などの、格差を拡大させている。
世代間格差は、若者が子供を作らない少子化の1因ともなっているし、正規/非正規格差、発注、下請け格差は、ワーキングプアを、生み出しているなど、昭和的価値観とそのシステムは社会問題の原因となっている。
このシステムは改善されるべきなのだが、築くべき、新たなシステムのベースにある、「平成的価値観」とはなんだろうか?一言で言えば、「多様性を認める」価値観である。自分の人生に自分なりの目的を見出して、仕事をしていく。そのスタンスは一人一人違っていてしかるべきである。そこでの仕事は、昭和的に、「滅私奉公し、リターンは将来受け取るもの」ではなく、「やりたいことを頑張って成果はタイムリーに得る」べきものである。
大企業は、すぐに今のシステムを手放し、200万人と言われるニート、フリーターや、今のシステムからドロップアウトして締め出された中高年、キャリアとして認めていない女性に対しても、門戸を開放し、やっている仕事に対して、正統な給与を支払うシステムをとるべきである。
そして、労働者の側も、人生を賭けて自分のやりたいことを見出し、やっている仕事に対して正統な対価を求めるべきである。そして、業務経験をしっかりと積み重ね、できる仕事のレベルを上げていく、つまりしっかりとしたキャリアを形成することを目指していくべきである。
・・・ぐらいでしょうか。
著者は必ずしも、欧米型の実力主義のシステムを輸入することを求めているのではないようです。
ゼロ成長、マイナス成長を前提としたシステムを組み上げることの必要性は、社会全体に必要であるということですよね・・・。企業もそこから逃げるな!と。
年金問題と同じで、右肩上がりを前提としたシステムは、若者にツケを回しているだけですから。
ただ昭和的価値観とそれを支えるシステムを維持するためだけに、被搾取者を次々と作り出すのは止めなさい、と言っていますね。
派遣社員などの非正規雇用者は、現在、やっている仕事に比して貰い過ぎている人々を支えるために、低賃金労働を強いられている。それは変じゃないですか?と。
まあ、確かに大きな会社には、ほぼ何もしていない人もいます。派遣社員がバリバリ働いていて、という状況も多々ありますね・・・。
それは、本質的におかしなお話しです、と。
ただ、若者の中にも、昭和的価値観があって、大企業に入りたい、そのレールに乗って逃げ切りたい、という人はたくさんいる状況を危惧していますね。
前作に続き、主張は至極まっとうです。
ただ、改革をドライブするためには、今の既得権益を持っている人が、それを手放してくれるためのインセンティブがあるべきですが、そのアイデアは書かれていないですね。
自分の既得権益を手放すのって難しいですからね・・・。
昨日のビジネスサテライトで、年金問題で、老人でもお金がある人は、支給を減らそう、といったことをコメンテーターの方が言っていました。それを納得させる理屈は、「待ったなしだから」ですね。
このままでは社会システムが崩壊する。だから、既得権を手放してくれませんか?と言われて、「ハイそうですね」とは、なかなかならない気がしました。
既得権益の排除と機会平等の仕組みが、「いっせいのせ」で、同時にできるとよいのですが、どうしてもタイムラグが生じます。そのタイムラグの間は、煮え湯を飲まなくてはいけない。
コンサルタント失格かもしれませんが、私にも、彼らにどんなインセンティブを与えて既得権益を手放してもらうか、は見えませんでした。今の経営層は、彼らの世代の代表ですもんね・・・。
中高年の既得権を手放す代わりに、ビジネス教育機関の費用対効果を上げつつ、彼らの大学などでのホワイトカラー再教育というか、そういうもので優遇するぐらいしか思いつきません・・・。それを社会がキャリアアップとして認める下地作りとかね・・・。
しかし、もし本当に既得権益を自ら手放してくれたら、その世代は尊敬します。本当に。
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今日のネタはこの本です。「若者はなぜ3年で辞めるのか」に続く続編ですね。前著では、昭和的価値観とそれを支えるシステムが、若者を搾取する構造の上に成り立っていることを説明したんですね。
非常に納得感のあるものでした。今回は、昭和的価値観と、それを支えるシステムが古くなってきたのならば、今後あるべき、平成的価値観とそれを支えるシステムは何なのか?を描いています。
1つ1つの章で、いわゆる昭和的価値観から外へ出た人々をインタビューするという構成になっています。そして、著者のコラムもいくつか挟まっています。インタビュー対象の属性やお話しの内容から、「キャリア編」「独立編」「新世代編」に分かれていますね。
こういう本の構成から、サマライズするのは難しいのですが、著者の言わんとすることを汲み取ってみると・・・
現在、大企業の大半は、未だに昭和的価値観に支配され、終身雇用、年功序列というシステムをしいているが、このシステムは、マイナス成長、ゼロ成長を前提とすると、若者に負担を強いて、一部の中高年層だけが権益を得る、若者が中高年になった時のリターンは保障されえない、という非常にいびつなものである。
そのひずみは、若者を既得権益を持つ中高年が搾取するという世代間格差、正規雇用者が、派遣社員、アルバイトなどの非正規雇用者を搾取する、正規/非正規格差、親会社が子会社、下請けを搾取する発注、下請け格差などの、格差を拡大させている。
世代間格差は、若者が子供を作らない少子化の1因ともなっているし、正規/非正規格差、発注、下請け格差は、ワーキングプアを、生み出しているなど、昭和的価値観とそのシステムは社会問題の原因となっている。
このシステムは改善されるべきなのだが、築くべき、新たなシステムのベースにある、「平成的価値観」とはなんだろうか?一言で言えば、「多様性を認める」価値観である。自分の人生に自分なりの目的を見出して、仕事をしていく。そのスタンスは一人一人違っていてしかるべきである。そこでの仕事は、昭和的に、「滅私奉公し、リターンは将来受け取るもの」ではなく、「やりたいことを頑張って成果はタイムリーに得る」べきものである。
大企業は、すぐに今のシステムを手放し、200万人と言われるニート、フリーターや、今のシステムからドロップアウトして締め出された中高年、キャリアとして認めていない女性に対しても、門戸を開放し、やっている仕事に対して、正統な給与を支払うシステムをとるべきである。
そして、労働者の側も、人生を賭けて自分のやりたいことを見出し、やっている仕事に対して正統な対価を求めるべきである。そして、業務経験をしっかりと積み重ね、できる仕事のレベルを上げていく、つまりしっかりとしたキャリアを形成することを目指していくべきである。
・・・ぐらいでしょうか。
著者は必ずしも、欧米型の実力主義のシステムを輸入することを求めているのではないようです。
ゼロ成長、マイナス成長を前提としたシステムを組み上げることの必要性は、社会全体に必要であるということですよね・・・。企業もそこから逃げるな!と。
年金問題と同じで、右肩上がりを前提としたシステムは、若者にツケを回しているだけですから。
ただ昭和的価値観とそれを支えるシステムを維持するためだけに、被搾取者を次々と作り出すのは止めなさい、と言っていますね。
派遣社員などの非正規雇用者は、現在、やっている仕事に比して貰い過ぎている人々を支えるために、低賃金労働を強いられている。それは変じゃないですか?と。
まあ、確かに大きな会社には、ほぼ何もしていない人もいます。派遣社員がバリバリ働いていて、という状況も多々ありますね・・・。
それは、本質的におかしなお話しです、と。
ただ、若者の中にも、昭和的価値観があって、大企業に入りたい、そのレールに乗って逃げ切りたい、という人はたくさんいる状況を危惧していますね。
前作に続き、主張は至極まっとうです。
ただ、改革をドライブするためには、今の既得権益を持っている人が、それを手放してくれるためのインセンティブがあるべきですが、そのアイデアは書かれていないですね。
自分の既得権益を手放すのって難しいですからね・・・。
昨日のビジネスサテライトで、年金問題で、老人でもお金がある人は、支給を減らそう、といったことをコメンテーターの方が言っていました。それを納得させる理屈は、「待ったなしだから」ですね。
このままでは社会システムが崩壊する。だから、既得権を手放してくれませんか?と言われて、「ハイそうですね」とは、なかなかならない気がしました。
既得権益の排除と機会平等の仕組みが、「いっせいのせ」で、同時にできるとよいのですが、どうしてもタイムラグが生じます。そのタイムラグの間は、煮え湯を飲まなくてはいけない。
コンサルタント失格かもしれませんが、私にも、彼らにどんなインセンティブを与えて既得権益を手放してもらうか、は見えませんでした。今の経営層は、彼らの世代の代表ですもんね・・・。
中高年の既得権を手放す代わりに、ビジネス教育機関の費用対効果を上げつつ、彼らの大学などでのホワイトカラー再教育というか、そういうもので優遇するぐらいしか思いつきません・・・。それを社会がキャリアアップとして認める下地作りとかね・・・。
しかし、もし本当に既得権益を自ら手放してくれたら、その世代は尊敬します。本当に。
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