ゴールデンウィークに入りますね。私は、セミナーを受けてきます・・・。GW集中ということで、休みはないですね。
まあ、休みじゃないと、そんなに大胆にセミナーを受けられませんからね。
海外のセミナーも受けたいんですけどね・・・。英語の勉強をもっとしておかないとお金の無駄になりそうなので。
さて、今日のネタはこちら↑です。会計の本はあんまり好きではないのですが、経営では一応、それなりに大事なことなので、扱ってみようかな、と。記事はこちらhttp://www.insightnow.jp/article/1312ですね。
とりあえず、本の構成としては、財務会計の基本として貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー、管理会計の基本として、固定費と変動費、増し分利益、直接原価計算について解説しています。そして、管理会計の章の最後に、やや違和感がありますが、PPMと付加価値概念の説明をしています。
そして、それぞれを説明する入り口に、目を引くようなテーマが設定されています。
・貸借対照表を見れば外資ファンドに狙われる会社がわかる
・なぜイオンはダイエーを関連会社にし、子会社にしないのか?
・トヨタが無借金経営で無い理由とは?
・なぜ、国の財政は破綻しないのか?
・なぜ、リニアや第二東名はなかなか完成しないのか?
・企業の将来像は未来投資で見える?
・なぜ、「スーパーシート」や「ホワイトプラン」はおいしいのか?
・なぜ、液晶テレビの価格はどんどん下がるのか?
・なぜ、小林製薬ではヒット商品が次々と生まれるのか?
・なぜ、企業業績は良いのに「現金給与総額」は上がらないのか?
羅列してしまいましたが、こんなテーマから、財務会計、管理会計というものを見ていく構成になっています。
こういう構成なので、サマライズは、ちょっとやりにくいのですが、貸借対照表の部分だけ、詳しいサマリーを書くと・・・
ビジネスマンは、簿記から学んで、財務諸表を学ぼうとするが、そういうアプローチで学ぶと退屈で挫折しやすい。別に、どのような仕訳をした結果、財務諸表が出来上がるということは、ほとんどのビジネスマンには必要ない。
むしろ、経営的に財務諸表を見ることがビジネスマンには必要であり、この本ではそういった視点での財務諸表の見方を紹介する。
貸借対照表とは、お金をいかに調達して、運用してどんな結果が出ているのか?を記述している。表の右側が調達、左側が運用の結果である。
そして、もし1秒で財務諸表を見るとしたら、貸借対照表から、「流動比率」を読み取るべきである。
たいていの企業は、借金を返せなくなって潰れる。企業を評価する際に、短期的に資金繰りが厳しくなる、ならない、という視点で見るのがまず第一であるから、貸借対照表の左側の調達の部分で、短期的に返さなくてはならない借金の金額が記してある流動負債の金額と、借金を返す原資となる流動資産を比較する指標である流動比率を見るのである。
貸借対照表とは、いかに調達して、どんな結果が出ているのか?を記しているが、調達には大きく分けて2種類ある。返済しなくてはいけない借金である負債と、株主からの投資を中心とする純資産である。調達金額全体に対して、この返さなくていい純資産の比率を、「自己資本比率」と言い、長期的な安定性の指標として使われる。
ただ、調達コストという観点から行くと、金利が負債の調達コストになり、純資産の調達コストは国債金利+αになる。こう考えると、純資産の調達コストのほうが高くなる。調達した資金を、まわして収益を得ることが企業の使命なので、高いコストで資金を調達している企業は、より高い利回りを求められる。
こういうことを判断するための調達コストの指標をWACC(加重平均調達コスト)と言い、利回りの指標をROA(資産利益率)と言います。この2つの指標を見比べて、企業が調達のコストに対して、適切な利回りを出しているか判断する。
花王がカネボウを買ったのも、自己資本比率がやや高すぎて、経営効率が悪いと判断されないためだったろうし、無借金経営と思われがちなトヨタ自動車が、借金をしているのも、WACCを下げて、ROAとのバランスを取るためと言える。
ブルドックソースがスティールパートナーズに狙われたのは現金の資産が多い割りに、ROAが低い、つまり企業の能力をフルに使って、事業を回していないという判断をされたからである。
また、高い自己資本比率を持っていて、低ROAの企業は、現金資産を多く保有しているので、ファンドから見た場合、借金をして、その企業を買収し、その企業の現金で借金を返すと言うLBO(レバレッジドバイアウト)の手法が使える。そうすると、ファンドの利回りは非常に高くなるので、買収に踏み切りやすい。
上場したのならば、効率的な経営を求められるのは、当然であり、高自己資本比率、低ROAを放置することは許されない。もしも、株主からの効率的な経営を求める圧力を受けるのが嫌なのならば、上場を廃止すればいい。
ただ、米国でも外資の買収に対する、法律による防衛は実施されている。軍需産業だけではなく、先端技術に関しても、外資規制をすることは国益に適うものである。そういった領域以外は、自由な投資活動を実施したほうが、経済は活性化すると考えられるので、国益に照らした判断が重要である。
貸借対照表の最後に、連結と持分法適用の違いについて。連結対象子会社になると、親子間の取引は相殺されて、全ての数字が合算される。持分法適用であれば、株の持分に応じた利益を営業外収益に合算するだけである。
イオンがダイエーを連結対象子会社にせず、持分法適用に留めているのは、ダイエーが大きな負債を持っているので、それを合算して財務諸表上の評価を悪化させたくないからである。当面、影響力を保持するだけで、イオン側にはメリットがあるので、ダイエーの財務内容が改善されてから、子会社にしてもよいのである。
・・・といったところでしょうか。けっこう補足したサマリーになってしまっていますが・・・。これで興味をお持ちの方は買ってみてください。
この本で主張している、「ビジネスマンは財務諸表が経営的に読めればいい、簿記から考える必要はない」、には賛成ですが、説明が会計概念からいろいろなことを説明するので、やっぱりちょっとした違和感はありますね。
マーケティング的な視点に慣れている人は、その違和感を楽しみながら読むといいかもしれません。
ただ、これはちょっとおかしいだろう、ということもいくつかありますね。
特にIT企業に関する考え方と、PPMに対する考え方が明らかにおかしいですね。
IT業界は参入障壁が低く、比較的簡単に損益分岐まで到達する、といったことが書かれています。成長市場にあった時のお話しと、ビジネスモデル的なお話しがごっちゃになっています。それと、マーケティングROI的なお話しで見たら、IT企業は決していいとこ取りではないことがわかりますが、あまりそういうことに触れていません・・・。
そして、PPMのお話しの中で、「カネのなる木」になるまで利益は出ません、といったことが書かれています。これも順番が相当逆なお話しですね。
成長市場でジェネレートされるキャッシュフローの量がどれぐらいか?という観点と、市場が成熟した場合に、シェアを多く持っていた場合に、利益率を高める条件という観点なしに、いろいろと論じてらっしゃいます。
別にマーケティング的なことを期待して読む人もいないだろう、というお話しではありまけどね。
ただ、ファイナンス的な知見と、マーケティング的な知見を統合している人の著作ではないですね。そのあたりは期待できません。
題名のインパクトは大きいので、マーケティング的に、そこは成功ですけれど・・・。
いわゆる会計系コンサルティングの香りが強くする著作ではないかな、と思いました。
まあ、休みじゃないと、そんなに大胆にセミナーを受けられませんからね。
海外のセミナーも受けたいんですけどね・・・。英語の勉強をもっとしておかないとお金の無駄になりそうなので。
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さて、今日のネタはこちら↑です。会計の本はあんまり好きではないのですが、経営では一応、それなりに大事なことなので、扱ってみようかな、と。記事はこちらhttp://www.insightnow.jp/article/1312ですね。
とりあえず、本の構成としては、財務会計の基本として貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー、管理会計の基本として、固定費と変動費、増し分利益、直接原価計算について解説しています。そして、管理会計の章の最後に、やや違和感がありますが、PPMと付加価値概念の説明をしています。
そして、それぞれを説明する入り口に、目を引くようなテーマが設定されています。
・貸借対照表を見れば外資ファンドに狙われる会社がわかる
・なぜイオンはダイエーを関連会社にし、子会社にしないのか?
・トヨタが無借金経営で無い理由とは?
・なぜ、国の財政は破綻しないのか?
・なぜ、リニアや第二東名はなかなか完成しないのか?
・企業の将来像は未来投資で見える?
・なぜ、「スーパーシート」や「ホワイトプラン」はおいしいのか?
・なぜ、液晶テレビの価格はどんどん下がるのか?
・なぜ、小林製薬ではヒット商品が次々と生まれるのか?
・なぜ、企業業績は良いのに「現金給与総額」は上がらないのか?
羅列してしまいましたが、こんなテーマから、財務会計、管理会計というものを見ていく構成になっています。
こういう構成なので、サマライズは、ちょっとやりにくいのですが、貸借対照表の部分だけ、詳しいサマリーを書くと・・・
ビジネスマンは、簿記から学んで、財務諸表を学ぼうとするが、そういうアプローチで学ぶと退屈で挫折しやすい。別に、どのような仕訳をした結果、財務諸表が出来上がるということは、ほとんどのビジネスマンには必要ない。
むしろ、経営的に財務諸表を見ることがビジネスマンには必要であり、この本ではそういった視点での財務諸表の見方を紹介する。
貸借対照表とは、お金をいかに調達して、運用してどんな結果が出ているのか?を記述している。表の右側が調達、左側が運用の結果である。
そして、もし1秒で財務諸表を見るとしたら、貸借対照表から、「流動比率」を読み取るべきである。
たいていの企業は、借金を返せなくなって潰れる。企業を評価する際に、短期的に資金繰りが厳しくなる、ならない、という視点で見るのがまず第一であるから、貸借対照表の左側の調達の部分で、短期的に返さなくてはならない借金の金額が記してある流動負債の金額と、借金を返す原資となる流動資産を比較する指標である流動比率を見るのである。
貸借対照表とは、いかに調達して、どんな結果が出ているのか?を記しているが、調達には大きく分けて2種類ある。返済しなくてはいけない借金である負債と、株主からの投資を中心とする純資産である。調達金額全体に対して、この返さなくていい純資産の比率を、「自己資本比率」と言い、長期的な安定性の指標として使われる。
ただ、調達コストという観点から行くと、金利が負債の調達コストになり、純資産の調達コストは国債金利+αになる。こう考えると、純資産の調達コストのほうが高くなる。調達した資金を、まわして収益を得ることが企業の使命なので、高いコストで資金を調達している企業は、より高い利回りを求められる。
こういうことを判断するための調達コストの指標をWACC(加重平均調達コスト)と言い、利回りの指標をROA(資産利益率)と言います。この2つの指標を見比べて、企業が調達のコストに対して、適切な利回りを出しているか判断する。
花王がカネボウを買ったのも、自己資本比率がやや高すぎて、経営効率が悪いと判断されないためだったろうし、無借金経営と思われがちなトヨタ自動車が、借金をしているのも、WACCを下げて、ROAとのバランスを取るためと言える。
ブルドックソースがスティールパートナーズに狙われたのは現金の資産が多い割りに、ROAが低い、つまり企業の能力をフルに使って、事業を回していないという判断をされたからである。
また、高い自己資本比率を持っていて、低ROAの企業は、現金資産を多く保有しているので、ファンドから見た場合、借金をして、その企業を買収し、その企業の現金で借金を返すと言うLBO(レバレッジドバイアウト)の手法が使える。そうすると、ファンドの利回りは非常に高くなるので、買収に踏み切りやすい。
上場したのならば、効率的な経営を求められるのは、当然であり、高自己資本比率、低ROAを放置することは許されない。もしも、株主からの効率的な経営を求める圧力を受けるのが嫌なのならば、上場を廃止すればいい。
ただ、米国でも外資の買収に対する、法律による防衛は実施されている。軍需産業だけではなく、先端技術に関しても、外資規制をすることは国益に適うものである。そういった領域以外は、自由な投資活動を実施したほうが、経済は活性化すると考えられるので、国益に照らした判断が重要である。
貸借対照表の最後に、連結と持分法適用の違いについて。連結対象子会社になると、親子間の取引は相殺されて、全ての数字が合算される。持分法適用であれば、株の持分に応じた利益を営業外収益に合算するだけである。
イオンがダイエーを連結対象子会社にせず、持分法適用に留めているのは、ダイエーが大きな負債を持っているので、それを合算して財務諸表上の評価を悪化させたくないからである。当面、影響力を保持するだけで、イオン側にはメリットがあるので、ダイエーの財務内容が改善されてから、子会社にしてもよいのである。
・・・といったところでしょうか。けっこう補足したサマリーになってしまっていますが・・・。これで興味をお持ちの方は買ってみてください。
この本で主張している、「ビジネスマンは財務諸表が経営的に読めればいい、簿記から考える必要はない」、には賛成ですが、説明が会計概念からいろいろなことを説明するので、やっぱりちょっとした違和感はありますね。
マーケティング的な視点に慣れている人は、その違和感を楽しみながら読むといいかもしれません。
ただ、これはちょっとおかしいだろう、ということもいくつかありますね。
特にIT企業に関する考え方と、PPMに対する考え方が明らかにおかしいですね。
IT業界は参入障壁が低く、比較的簡単に損益分岐まで到達する、といったことが書かれています。成長市場にあった時のお話しと、ビジネスモデル的なお話しがごっちゃになっています。それと、マーケティングROI的なお話しで見たら、IT企業は決していいとこ取りではないことがわかりますが、あまりそういうことに触れていません・・・。
そして、PPMのお話しの中で、「カネのなる木」になるまで利益は出ません、といったことが書かれています。これも順番が相当逆なお話しですね。
成長市場でジェネレートされるキャッシュフローの量がどれぐらいか?という観点と、市場が成熟した場合に、シェアを多く持っていた場合に、利益率を高める条件という観点なしに、いろいろと論じてらっしゃいます。
別にマーケティング的なことを期待して読む人もいないだろう、というお話しではありまけどね。
ただ、ファイナンス的な知見と、マーケティング的な知見を統合している人の著作ではないですね。そのあたりは期待できません。
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いわゆる会計系コンサルティングの香りが強くする著作ではないかな、と思いました。
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