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インサイト100戦略
> ビジョンと騙し絵の不思議な関係
 ようやく、セミナーから帰ってきました。

 疲れました・・・。非常に。

 でも、大学の助教授の方がいたり、新興企業のマネジャーさんがいたり、中小企業診断士の方がいたり、いろいろと刺激になりました。

 家の書棚を整理していたら、いろんな本が出てきました・・・。

日本型マーケティングの革新日本型マーケティングの革新
(1999/07)
池尾 恭一

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 そして、昔受けていた講座の資料とか。↑を書いている池尾先生の講義にも出ていたんですが、すっかり内容を忘れておりました。

 ただ、日本企業のマーケティングが非常にわかりやすく書かれている良書だと思います。ただ、今日はこの本のお話しではありません。

 今日はビジョンと騙し絵の関係について、昔から書いていることのおさらいです。これまた、インサイトナウ、転載企画です。ごめんなさいね。記事はhttp://www.insightnow.jp/article/1309ですね。


 戦略策定に際して、外部環境を客観的に分析することは非常に重要です。でも、客観なんて本当にあるんでしょうか?私は、外部環境分析のお話しをする時には、必ず騙し絵とビジョンの不思議な関係について説明します。

「老婆と貴婦人」と言われる騙し絵をご存知ですか?
絵は↓ですね。

老婆と貴婦人


小学校や中学校の教科書によく出てくるので、見たことがある人は非常に多いのではないかと思います。

この絵は、老婆だと思ってみると、老婆に見えます。そして、貴婦人だと思って見ると、貴婦人に見えます。

でも、同時には見えないですね。

老婆に見えるときに目の部分は、貴婦人に見えるときは耳に見えます。老婆の口に見える部分は、貴婦人の首に見えるんですね。

どんな全体か?によって、各部分の意味合いは変わってくるんです。

こういう部分と全体の関係性のことを「ゲシュタルト」と言います。初耳でしょうか?セラピー、心理学、科学哲学の世界では有名な言葉です。そして、経営学の世界でも、必須の概念だと私は思っています。

全体は、要素と、ある意味で恣意的な要素間の関係性によって、成り立っている。

そして、その関係性は、恣意的に変わる。昔の言葉で言うと「あばたもエクボ」でしょうか?

その相手を好きだと思ってみれば、「あばた」という吹き出物も、エクボに見えたりする。

全ては全体観と、関係性の中で成立するものなんですね。

そんなの当たり前だ、と思いますか?

でも、意外とビジネスでこのことを理解するのは、難しいのです。

例えば、コンサルティングサイドの人間が、シンクタンクを揶揄して言うのが、「シンクタンクの報告書には主語がない」という言葉です。

今期の売上は10%増、営業利益は5%増である。

というふうに書いてあったとして、その事象の意味合いは?という問いに答えていないというものです。

まあ、ファクトを集めることは集めることで、価値はあるんですけどね。ただ、コンサルティングバリューとは違うものですね。

それで、この「意味合い」というのが、関係性の中で物事を見る、ということです。全体として、老婆を見ようとしているのか、貴婦人を見ようとしているのか?によって、変わってくるということです。

その意味合いによって、企業がすべきこと、アクションは変わってきますよね。

あまりいい例ではないですが、今期の売上が10%増だったとして、5年後に目指している数値などによって、その意味合いは違ってきますよね。今時はあまりありませんが、5年後は売上が倍増する、という目標の中では、この10%は少ないという評価になりそうですし、もし、5年後に20%増の計画を立てているとすれば、10%は多いという評価になります。

そして、今期のリソースの投入と、活動はどうだったのかを考え、来期の計画、つまりアクションを考えます。

繰り返しになりますが、「全体として見たいもの」、を規定しないと意味合いというものは、出てきません。

その全体として見たいもの、というのが、企業の長期的な意思、ビジョンですね。

ビジョンが無いと、ファクトの評価ができません。ファクトの意味合いがわからなくなります。

もし、企業体に属する個々人が、全く違うビジョンを見ていたら、同じファクトを見ても、反応が違ってしまうんですね。あまり組織としての力を発揮できないことになります。

企業の意思は、当然、経営陣が明確化すべきものです。そのビジョンに呼応して、従業員は集まってくる、日々の活動に意味合いを見出していくものですからね。

経営者が、方針をコロコロ変えると、メンタルヘルス的には非常に悪いことがわかりますよね?老婆と貴婦人の例で言えば、ある時に老婆の目に見えているものが、突如、貴婦人の耳だ、ということになるわけです。

この例ではわかりやすく2つの全体像しか提示していませんが、全体像がいくつもあったとします。従業員は、各部分を見ていることになりますが、あるときは、Aという全体像で見ることを求められ、あるときはB、またあるときはC、Dとなれば、目の前の事実の意味合いが本当にめまぐるしく変わります。

目の前のものの見え方がころころと変わってしまうのは、「ゲシュタルトが揺らぐこと」になるんです。ある意味で、心の病の状態に近くなってしまうんですね。(このあたりのことの解説はまた別の機会に書かせていただきます。)

だから、企業のビジョンは設定したら、それに基づいて経営することが大事になります。

オーナー企業で、コロコロと方針が変わる企業は、離職率が高かったりしませんか?あるいは、方針をコロコロ変える上司の部門でも、そうだと思います。

確かに、強くて明確なビジョンは、なかなか簡単にはできません。

しかし、ビジョンがなければ、外部環境をいくら分析しても、その意味合いというのは、出てこないんですね。ファクトを集めても、分析の視点がなくなってしまう。意味合いが規定できない。つまりはアクションに結びつかない。

単にファクトを集めても、アクションに結びつかなければ、そのリサーチは無駄ですよね?

こんな価値をこんな顧客に対して提供して行くことで、社会を、世界をこうして変えて行きたい、ということをしっかりビジョンとして規定する。

その上で、外部環境がどうなるか?をシナリオプランニングなどの手法を使って予測し、その上で、それがビジョンに対してどんな意味合いがあるかを考える。

その意味合いを統合して、市場の変化とその変化への対応、ビジョンの実現への近づき方を3年~5年で規定する。まあ、かっこよく言うと、戦略策定でしょうか。

そのビジョンへの近づき方が方向性であり、アクションが束になっているものですよね?

だから、ビジョンも無いのに、ファクトを集めるのは、価値の低い行為ですね。1回のリサーチ結果に一喜一憂してもあまり意味がないのです。

お仕事の時に、リサーチの意味合いのお話しをする時、私は、老婆と貴婦人のお話しから、ビジョンのお話し、メンタルヘルスのお話し、意味合いから、アクションへの結び付け方のお話しをします。

ちょっと長くなりますが、分かる人は30分ぐらいでわかってくれます。

このつながりも、1つのゲシュタルトですよね?

私はうまく伝えられていますか?
まあ、こういうパッケージで私は商売している、ということですね。

完璧だとは言いませんが、企業を大きく安定させるには、こういう考え方が必要だと思います。企業の経営陣は、従業員のメンタルヘルスにも責任があると思います。

少しでもハッピーの総量が大きいビジネス社会の到来を心から願っております。
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2008.05.05(23:27)|戦略コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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